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「押し目買い」と「戻り売り」で失敗しないための方法
(最終更新日:2022/3/8、元記事:2018/11/7)


押し目買いと戻り売りは順張り投資の王道の手法です。
強いトレンドが続いている間は、利益が伸びやすいのが特徴で投資初心者がもっとも取り掛かりやすい投資手法の1つです。
しかし、うまくやらないと「だまし」にあって損切り、ナンピン、塩漬け…と失敗してしまう人も出て来ます。
そこで、「押し目買い」と「戻り売り」のコツ、相性の良いテクニカル指標(インジケーター)など…
押し目買いと戻り売りを成功させるためのノウハウをご紹介していきます。
★投資初心者で自分に合った投資手法をさがしている人
★押し目買い・戻り売りにいつも失敗してしまう人
★順張り投資家
★トレードで成功するためのインジケーターを知りたい人
★テクニカル分析の初心者
★トレンドラインの引き方を知りたい人
押し目買いとは・戻り売りとは
まずは、押し目買いと戻り売りの意味を解説しましょう。
押し目買いとは上昇トレンドの押し目(一時的な下落場面)を拾うトレード手法。
戻り売りとは下落トレンド中の一時的な反発場面を拾うトレード手法。
押し目買いの反対語が戻り売り。
戻り売りの反対語が押し目買い。
ということになります。


<押し目買いのチャート>
出典:スマートチャートプラス
メルカリの株価チャートです。
上昇トレンドが継続しているのがわかりますね。
★赤い丸をつけた箇所が「押し目」
★押し目のタイミングで買っていくのが「押し目買い」
となります。
<戻り売りのチャート>
出典:スマートチャートプラス
ユーグレナの株価チャートです。
やや角度の急な下落トレンドが継続しているのがわかります。
★赤い丸をつけた箇所が、一時的に株価を戻したところ
★株価が一時的に反発したタイミングで売っていくのが「戻り売り」
となります。
押し目買い・戻り売りのどちらにも言えることとして…
トレンドが長く続くほど、買い(売り)のチャンスがあり、利益を伸ばしやすい特徴があります。
それゆえに「押し目買い」も「戻り売り」も“順張り投資の王道”といえるのです。

「押し目買い」と「戻り売り」の手法「トレンドライン」を引く
押し目買いと戻り売りで失敗しないコツはトレンドラインを引くことです。
でも、テクニカル投資の初心者の方ですと、どのようにトレンドラインを引けば良いのか不安ですよね。
トレンドラインの引き方をかんたんに解説していきましょう。

それでは、押し目買いと戻り売りを成功させるためのトレンドラインの引き方を解説していきます。
押し目買いの場合
※出典:スマートチャートプラス
青い線がトレンドラインです。
押し目買いの場合、上昇トレンドが続くローソク足の下ヒゲの先端同士を結ぶのがコツです。
注意点として、上のチャートの例でいうと、オレンジの〇を付けた2か所を結ぶトレンドライン(青線)を、ローソク足がはみ出してはいけない基本ルールがあります。
もしはみ出すようならトレンドラインを引きなおす必要があります。
ローソク足(株価)がこのトレンドラインで跳ね返される回数が多いほど、この上昇トレンドラインは機能していると考えられ、トレンドが続く可能性が高いと考えます。
戻り売りの場合
※出典:スマートチャートプラス
同じく青い線がトレンドラインです。
押し目買いとは反対に、下落トレンド中のローソク足の上ヒゲ同士を結ぶことになります。
注意点も同様で、オレンジの〇を付けた2か所を結ぶトレンドライン(青線)を、ローソク足がはみ出してはいけないルールになります。
補足
トレンドラインを引くとき、ヒゲの先端同士を結ぶやり方と、ローソク足の実体の天頂・底を結ぶやり方があります。
どちらのやり方も間違ってはいませんが、今回の記事ではヒゲを結ぶトレンドラインの引き方をご紹介しました。


押し目買いと戻り売りのコツは時間足の確認と「だまし」回避
「押し目買い」と「戻り売り」で失敗しないコツは、時間足の特徴を知ることです。
押し目買いも戻り売りも、基本的にデイトレード、短期トレード、中長期トレードのどの投資スタイルでも可能です。
あなたの投資スタイルがデイトレなのか、スイングトレードを含む短期投資なのか、中長期投資なのかによって、見るべきテクニカル指標(インジケーター)も変わってきます。


特に注意が必要なのが「だまし」です。
「だまし」とは、テクニカル分析のセオリー通りに動かないチャートアクションをいいます。
ローソク足の性質上、短い時間足ほどデータの精度は低くなり、だましが多くなります。
つまり、日足チャートを見るより、1分足や5分足といった短期足を見る方が、だましは増えます。
押し目だと思って株を買ったのに、実は下落トレンド転換で損切りするはめになってしまった…
こんなことが起こってしまうわけです。
なので、以下のことを意識しましょう。
・自分がどんな時間軸の投資家なのかを確認する
・短い時間足ほど「だまし」が多くなることを意識する
・トレンドライン以外のテクニカル分析方法も身につける
なお、押し目買い、戻り売りの売買のタイミングをはかるのに、グランビルの法則の考え方を知っておくと便利です。
グランビルの法則は移動平均とローソク足の位置の関係から、買い時・売り時をはかる法則としてとても有名な法則です。
下記に、グランビルの法則について詳しく書きましたので載せておきます。
↓↓↓
グランビルの法則が株で使えない説は本当か?投資診断士が検証
押し目買いにナンピンはNG
押し目買いをしたつもりでも、自分の思惑がはずれて株価が大きく下落してしまうことがあります。
その場合のナンピン買いはNGです。



投資において時間を味方につけられるかどうか、これは非常に重要なことです。
時間はどんなに大金を持っていても買い戻すことができません。
ナンピン買いには
・損失拡大
・時間の浪費
・精神的ダメージ
・機会損失
など、デメリットが非常に多いのです。
あなたがすでにお金持ちで時間にも資金にも余裕があるなら良いでしょう。
しかし、そうではない場合は、押し目買いにナンピン買いはNGです。
押し目買いと戻り売りがうまくいかなかった時のために、投資におけるマイルールづくりと対処法を知っておくことがコツです。
下記に参考記事を載せておきます。
ぜひチェックしてみてください。
<押し目買い・戻り売りを成功させるための参考記事>
※伝説の投資家の28のトレードルール
↓↓↓
ギャン理論 価値ある28のルールを投資のプロが解説
※塩漬け株の対処法
↓↓↓
塩漬け株の対処法5選【アナリスト解説付き】
※トレンド転換のサイン
↓↓↓
株で首吊り線が安値圏・高値圏に出た時の投資のやり方
テクニカル指標(インジケーター)のおすすめ
「押し目買い」
「戻り売り」
どちらも「だまし」と「失敗」を減らして成功率を上げるにはインジケーターの存在が不可欠です。
インジケーターには一目均衡表などがありますが、押し目買いに合うインジケーターをご紹介します。
もちろん、戻り売りにも合うテクニカル指標ですのでご安心ください。
移動平均線
移動平均線は、値動きに素早く反応するので、売買シグナルが早くでるメリットがあります。短期・中期・長期移動平均線があります。
代表的な見方として、ゴールデンクロスとデッドクロスがあります。
より短い期間の移動平均線が長い期間の移動平均線を下から上に突き抜ければ「買い」、反対に上から下に突き抜ければ「売り」のサインとなります。
短期・中期・長期移動平均線が3本とも右肩上がりになっていれば、強い上昇トレンド。
逆に、3本とも右肩下がりになっていれば、強い下落トレンド。
このような見方をすることができ、トレンドが長期でつづくのかを見るのに役立ちます。


MACD
MACD(マックディー)はオシレーター系インジケーターの代表格です。
株価が「買われすぎ」か「売られすぎ」かの水準を教えてくれるインジケーターです。
一般的にトレンド転換のポイントを見つけるのに利用されることが多いのが特徴です。
ですので、トレンド転換を見極めて「だまし」にあう確率を下げてくれるテクニカル指標といえます。
MACDの使い方については下記の記事で詳しく解説しています。
↓↓↓
MACDの設定方法 おすすめの設定値とは?
ボリンジャーバンド
3つめのインジケーターは「ボリンジャーバンド」。
ボリンジャーバンドは、ジョン・ボリンジャー氏が開発した統計学を用いたテクニカル指標です。
統計学的に「株価はこの帯(バンド)の中に収まる」という考えに基づくインジケーターです。
下図がボリンジャーバンドになります。
出典:ヤフーファイナンス
標準偏差による確率論では
★ボリンジャーバンドの±1σの範囲内に株価が収まる確率 ⇒ 約68.3%
★ボリンジャーバンドの±2σの範囲内に株価が収まる確率 ⇒ 約95.4%
★ボリンジャーバンドの±3σの範囲内に株価が収まる確率 ⇒ 約99.7%
となっており、株価の反転のタイミングをはかったりするのに使います。
※ボリンジャーバンドの使い方・見方は下記記事で紹介しています。
↓↓↓
ボリンジャーバンドとは?設定と見方をわかりやすく解説
「押し目買い」「戻り売り」銘柄の探し方
「押し目買い」と「戻り売り」の銘柄の探し方をご紹介します。
押し目買い、戻り売りはチャートパターンなので、ともにPERや自己資本比率などのファンダメンタルズ情報を入力してスクリーニングすることはできません。
しかし、心配はいりません。
ほとんどの証券会社で、チャートの形状によるスクリーニングが可能となっています。
<チャート形状によるスクリーニングが可能な証券会社>
SBI証券
楽天証券
マネックス証券
松井証券
など
<SBI証券>
出典:SBI証券
上記のSBI証券のツールを例にすると、黄緑の〇をつけた「上昇基調?」「下落基調?」をクリックすると、押し目買い銘柄と戻り待ち銘柄を探しやすくなります。
どの証券会社も基本的に同じ性能です。

押し目待ちに押し目なし
相場格言の1つに「押し目待ちに押し目なし」があります。
「押し目待ちに押し目なし」とは、文字通り押し目を待っていても株価が下がってこないことです。
押し目が来ないのは、それだけ上昇トレンドが強烈ということ。
下がってこないものをいつまでも待っていても、時間と機会損失です。
他の良さそうな銘柄を探した方が時間・資金ともに効率が良い場合が出てくるので、1つの銘柄に固執しない方がよいでしょう。

押し目買いをねらうべき銘柄とは
押し目買いをねらうタイミングの基本は上昇トレンド継続+トレンドラインで何度も跳ね返されていること。
それに加え、「好業績」+「上方修正期待」などがあれば尚よいと思います。
押し目買いとは、モメンタム投資の一種。
モメンタム投資とは、株価チャートが上昇トレンドを形成している銘柄を狙う投資法です。
モメンタムには「勢い」という意味があり、長期で勢いよく株価が上昇していく銘柄をねらっていきます。
そのため、好業績の継続銘柄がカギになるとクロサキは考えます。
また、個別銘柄だけでなく、指数やETFなども押し目買いではねらえます。
例えば、長期上昇がつづく米国株指標のS&P500やNASDAQ指数、S&P500のうちハイテクセクターなどで構成された指数に連動したレバレッジETF「TECL」などが挙げられます。
※TECLについては概要、特徴などを下記記事で詳しく解説しています。
↓↓↓
TECL 株価200倍米国ETFの構成銘柄と今後を解説

戻り売りをねらうべき銘柄とは
戻り売りをねらうタイミングの基本は下落トレンド継続+トレンドラインで何度も跳ね返されていること。
ファンダメンタルの買い材料などが当面なく、株価の下落余地がまだ大幅にある銘柄が良いでしょう。
近い将来に決算発表がある銘柄は避けた方が良いと思います。
たとえ業績が悪くても、悪材料出尽くしで一気に株価が反発する可能性もありますので。
大事なことは、感覚に頼るのではなく、インジケーターを利用して科学的根拠をもとにトレードすることです。
2022年7月からは米国株でも信用取引(空売り)が解禁となります。
ますます戻り売りでのチャンスは拡大しそうですね。
※米国株の信用取引については下記記事で解説
↓↓↓
米国株信用取引が解禁!空売りできる証券会社と銘柄
おわりに
「押し目買い」と「戻り売り」の解説はいかがでしたでしょうか。
インジケーターを3つご紹介しましたが、基本的には自分に合うインジケーターを利用することをおすすめします。
インジケーターは人によって相性などもありますので、どのインジケーターが自分に合うのか、色々と試してみると良い投資結果に結び付くと思います。
基本的に株価は長期で上昇していても、その途中では上下の循環を繰り返しています。
だからこそ、押し目買いも成り立つわけです。
押し目買いも戻り売りもタイミングを掴むのが難しいなぁ。
>押し目ちゃさん
コメントありがとうございます。
そうですね、押し目買いと戻り売りはタイミングが命。そしてそれが難しい…
だからこそ、インジケータ選びはとても重要です。ご自分に合ったインジケーターを探しましょう。
押し目買いに戻り売り、トレードの基本だけど難しい。とても参考になりました。ありがとうございます。
>押し売りさん
コメントありがとうございます。
そうですね、基本的なことほど難しいような気がします。
この記事を書くことでクロサキ自身、基本に立ち返りました。
押し目買いと戻り売り、どちらも利益を伸ばせると思うので腕を磨いていきたいと思います。