セリングクライマックス(セリクラ)の株の見極め方を知りたい株式投資家が増加しているようです。(英語:Selling Climax)
それもそのはず。
米国の利上げやテーパリング、コロナ、中国・ウクライナ地政学リスクなどにより、グロース株を中心に株価下落の銘柄が相次いでいるためです。
まずは下のマザーズ指数の株価チャートをごらんください。
※出典:トレーディングビュー
マザーズ指数は2020年秋から上下しながらゆるやかな下降トレンドが続いてきました。
しかし、ローソク足チャートがダブルトップのネックラインを下抜けてしまい、売りが加速してしまっています。
※ダブルトップは株価下落のシグナル
いったいマザーズ銘柄のセリングクライマックス(セリクラ)はいつくるのか?
マザーズ市場には2022年のテンバガー候補もゴロゴロあるので気になるところです。
そこで今回は、セリングクライマックス(セリクラ)の株の個別銘柄における解説をしていきたいと思います。
目次
セリクラとは?セリングクライマックスの特徴
(最終更新日:2022/1/18、元記事:2020/3/13)
セリングクライマックスことセリクラとは、どんな現象なのか?
セリングクライマックスの特徴を解説しましょう。
セリングクライマックスとは、株価急落時の最終局面を意味し、セリクラを超えるとトレンド転換して株価が上昇していくケースが散見されるのが特徴です。
ここで留意したいのは、セリクラとは株価急落(暴落)時に起こる現象であることです。
ゆるやかな下降トレンドがいつ終わるのかという話ではありません。
ちなみにセリングクライマックスの反対(逆)はバイイングクライマックス(バイクラ)といいます。
それでは、実際のセリングクライマックスの株価チャートを見てみましょう。
<塩野義製薬:3分足チャート>
※出典:トレーディングビュー
2022年1月5日、塩野義製薬(4507)の株価が後場開始から急落しました。
株価急落の理由は、前場終了後に同社がコロナ治療薬とワクチン開発の遅れをIR発表したことです。
塩野義製薬の株価は前場終了時の8164円から7295円まで急落。約11%も暴落しました。
しかし、株価は7295円をつけたところが底(セリングクライマックス)となり、急反発しました。
ちなみに拡大図に「首吊り線」と書きましたが、ローソク足のパターンでトレンド転換を示唆する足です。
首吊り線については下記記事で解説しています。
↓↓↓
株で首吊り線が安値圏・高値圏に出た時の投資のやり方
株価が急落後に急反発する、これがセリングクライマックス(セリクラ)の1つの特徴です。
セリングクライマックスは出来高急増と共にくる
セリングクライマックスの株価チャートを見ると、出来高が急増しながら株価が下落していることがわかります。
もういちど塩野義製薬の株価チャートをごらんください。
今度は下段に出来高を表示させています。
※出典:トレーディングビュー
チャートを見ると、株価急落と同時に出来高が急増していることが一目瞭然。
ここで出来高急増の理由をワンポイント解説です。
理由1:株価急落による損切りの増加(現物)
理由2:信用取引の追証による損切りの増加
理由3:自律反発期待のデイトレーダーの買い
理由4:空売りトレーダーの利確による買い戻し増加

セリングクライマックスの反対はバイイングクライマックス
セリングクライマックスが株価急落のピークであるのに対し、逆の現象はバイイングクライマックスといいます。
セリングクライマックスの反対はバイイングクライマックスと覚えましょう。
下のステラファーマ(4888)のチャートがまさにバイイングクライマックスなのでご紹介します。
※出典:トレーディングビュー
バイイングクライマックスは、株価が急上昇し天井をつけるときのことを意味します。
天井をつけた後は急落することが多い傾向にあります。
これは利確や逆張りを狙った空売り、増し担保規制などによって、売り圧力上昇と買いの勢いがなくなることが要因として考えられます。
買い材料が強ければ、いったん株価が調整した後で再び上昇していく可能性が高まります。
セリングクライマックスの株チャート例「クラレ」
セリングクライマックスの例として塩野義製薬の株価チャートを紹介しましたが、3分足というとても短い時間のローソク足だったので、日足の例も紹介します。
3分足でも日足でもローソク足の見方は基本的に同じです。
セリクラの例として、クラレ(3405)のセリングクライマックスのチャートを解説。
※出典:トレーディングビュー
上図のクラレのチャートには、セリングクライマックスが2か所あります。
このチャートからわかるセリングクライマックスの特徴を解説していきます。
・「窓開け」や「大陰線」が出現し株価が急落する
・ボリンジャーバンドのバンドウォークが発現する
・セリクラポイントではボリンジャーバンド「-3σ」にタッチ
・セリクラポイントでは「首吊り線」といった下影陰線の出現頻度が高い
少しチャートが見づらいかもしれませんが、最初のセリングクライマックスでは、首吊り線に似たローソク足が出現しています。
塩野義製薬の株価チャートでも解説したように、首吊り線はトレンド転換のシグナル。
クラレでも首吊り線の後に株価が反発しているのがわかります。
また、セリングクライマックスはボリンジャーバンドを表示させるとバンドウォークになる場合がほとんどです。
バンドウォークになると、強いトレンドになる傾向があり空売りを仕掛けて入れば大きな利益を得るチャンスが広がります。
※バンドウォークとボリンジャーバンドについては下記記事でくわしく解説しています。
バンドウォーク 株で勝つインジケーターと見極め方
セリングクライマックスの見極めと判断
セリングクライマックスの見極めと判断…はっきりいってこれは難しいです。
なぜならセリングクライマックスには「だまし」が多いからです。
株価が反発したと思ってもだましの可能性があり、二番底、三番底に陥っていくリスクはよくあること。
特に、連日のように日経平均やダウ平均が1,000円や1,000ドルも下げるような、パニック相場では、投資家の心理が悪化しており、正常な判断を下せない投げ売りが出やすくなります。要注意です。
クロサキは、セリングクライマックスには相場格言の「落ちてくるナイフは拾うな」が鉄則であると考えます。
しかし、それを言ってしまっては話が終わってしまうので、クロサキが考えるセリクラの見極めと判断の仕方について解説していきます。
ふたたびクラレのチャートに登場してもらいましょう。
※出典:トレーディングビュー
今度はローソク足に加え、ボリンジャーバンドとボリンジャーバンド%B(BB%B)を表示しています。
ボリンジャーバンド%Bというインジケーターは、ボリンジャーバンドから派生したオシレーター系インジケーターで「買われすぎ」「売られすぎ」を示唆してくれます。
BB%Bの見方としては、1.00以上なら買われすぎ、0.00以下なら売られすぎと判断します。
クラレのチャートを見ると、セリングクライマックス時のBB%Bはどちらも売られすぎ水準に達しています。
上段のボリンジャーバンドも-2σあるいは-3σにタッチしています。
ローソク足とボリンジャーバンド、ボリンジャーバンド%Bの3つのインジケーターを組み合わせることで、セリングクライマックスを見極め、買いの判断をすることができます。
セリングクライマックスの見極めに役立つインジケーター
セリングクライマックスの見極めや判断のやり方として、これまでボリンジャーバンドやボリンジャーバンド%Bを紹介してきました。
他にも使えそうなインジケーターがあるのでご紹介しましょう。
ちなみに、RSIはセリクラの見極めにはおすすめしません。
なぜなら、株価の急騰や急落になると数値が100か0に張り付いてしまう傾向が高いからです。
クロサキが自身の経験からセリングクライマックスの見極めや判断に使えそうだなと感じたのは以下の2つ。
セリングクライマックスとなったみずほフィナンシャルグループ(8411)の株価チャートをごらんください。
※出典:トレーディングビュー
みずほFGといえば、度重なるシステム障害により金融庁検査や外為法是正命令などを受け、株価が急落していました。
上のチャートに書き込んだ3つのシグナルはすべて「買いシグナル」です。
一目均衡表の遅行スパンが株価を上抜いた後、セリングクライマックスを迎え、MACDでの買いシグナルも確認してから株価は上がっていきました。
クロサキが見る限り、セリングクライマックスを見極める判断をする際、一目均衡表とMACDの相性は良さそうです。
セリングクライマックスは「空売り」に注意
セリングクライマックス(セリクラ)は、株やFXなどの価格が急落して起こる現象です。
なので、株なら“空売りすれば儲けられる”と考えて大損する初心者が増えないことを願っています。
セリングクライマックスというくらいですから、売り勢力がピークに達した状態なわけです。
すなわち、セリクラのタイミングで空売りを入れてしまうと株価の大幅な反発にあって大損するリスクが高まるのが道理。
セリクラの空売りで失敗しないための方法としては、上述したボリンジャーバンド%Bを利用して「売られすぎ」か、見極めることが1つの判断材料になると思います。

空売りや日経ダブルインバースのように、相場の下落局面で利益を上げられる手法を用いるなら、セリングクライマックス前に仕込むことがカギとなります。
そのためには、テクニカル分析がとても有効な手段になります。
マザーズのセリクラはいつ来るんでしょう?キツすぎる(*☻-☻*)
>反転希望さん
コメントをありがとうございます。
マザーズ指数の下げはなかなか厳しいですね。下値支持線を見つけるのが大変な状況になっているので、セリクラはまだ先になってしまう可能性を感じています。
米国株はセリクラになったかなぁ。1100ドル下げからプラ転はセリクラと思いたいレベル。
>せりクラさん
コメントをありがとうございます。
昨日の米市場の値動きは激しかったですね。ダウが1100ドル下げからプラス転換して引けたのは、たしかにセリクラだったと思いたいところですね。
とはいえ、FOMC、ウクライナ問題など、マクロ環境は予断を許さない状況なので、警戒は今後も継続ですね。
株のセリングクライマックスの記事がなかなか見つからず、この記事に辿り着きました。塩野義製薬とクラレのチャートわかりやすいです♪
セリクラへの対処法のヒントになります。