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大引けの大量買い、出来高が急増する理由を投資診断士が解説
(最終更新日:2021/12/1、元記事:2018/10/17)


大引けに大量買いが発生し、出来高が急増する理由は6つあります。
株初心者からよく聞かれるので、この場を借りてお話していきたいと思います。
ところで、株の出来高急増の理由と株価の関係をあなたはご存じでしょうか?
今回は、大引けに出来高が急増する理由と出来高急増でも株価変わらずの場合が多い現実について語っていきます。
出来高は多くの投資家・トレーダーが見ている指標。
出来高と株価の関係を知ることは、あなたの投資家ライフにも役立つことでしょう。
なぜ、大引けに出来高が急増するのか?大引けの大量買いの理由とは?
大引けの大量買いの謎…大引けに出来高が急増する理由とは?
株式投資をしていると、取引時間が終わる大引け15時に出来高が急増することに気が付きます。
証券会社アプリなどで「歩み値」の15時の箇所を見れば確認できるので、見られるようでしたらチェックしてみてくださいね。
<SBI証券アプリの歩み値>
※出典:SBI証券アプリ
上の画像は、SBI証券アプリの歩み値です。
14:59までは100株単位の約定が多いですが、大引けに出来高が急増しているのが一目瞭然。
大引けに大量買いされた株数は35.5万株。
15時に出来高はなぜか急増しました。
この大引けの大量買いの理由はどこにあるのか、解説していきましょう!
理由1:証券会社の大引け成り売り注文が大量に発生する
理由2:日をまたぐ(オーバーナイト)リスクを嫌うデイトレーダーが決済する
理由3:信用取引の手数料増加を嫌うデイトレーダーが決済する
理由4:日計り取引の決済が発生
理由5:ストップ高・ストップ安の比例配分が約定される
理由6:インデックスファンド(パッシブファンド)の大量注文
ざっと6つほど大引けの出来高急増の要素を挙げてみました。
上記6つの理由で、最も大きな要素は理由6かなと個人的には思います。
理由1の大引け成り注文を出すのもデイトレーダーが多いので。
基本的には、インデックスファンドが大量に大引け注文を出すために、大引けに出来高が急増することになります。
理由5のように、比例配分の場合は様相が異なります。
好材料or悪材料でストップ高かストップ安水準になったままの場合、大引けに注文を約定させることになります。
その分の出来高が加味されるため、大引けに出来高が急増する理由になりえます。
一番大きな理由として挙げられるのが理由6について、日経新聞電子版の2021年7月18日付記事「「タダ乗り投資」市場蝕む パッシブ化の弊害強く」から引用するとこんな理由があるようです。
東京証券取引所では1日の売買代金に占める午後3時の「大引け」時の比率が14%に達した。パッシブファンドは成績を指数と一致させるため、大引けで注文を出す場合が多い。パッシブ比率の高まりを映し、大引け時に売買が集中している。
近年、つみたてNISAやiDeCoが普及したことで、手数料が安くて長期投資向きなパッシブファンド(インデックスファンド)に資金が集中しています。
運用金額が大きく、市場に与える影響も甚大なので15時ちょうどの出来高急増になっています。

もしインデックス投資にご興味があるようでしたら下記記事で詳しく解説していますのでチェックをお願いします。
↓↓↓
インデックス投資で資産を増やすやり方を徹底解説
大引けに出来高急増でも株価変わらず?
株式投資の世界では、一般的に出来高が急増すると株価が上昇していくと考えられています。
これまで人気のなかった銘柄に、何か大きな材料が出て一気に人気化して株価が急騰していくパターンはまさに「出来高急増⇒株価上昇」の典型といえるでしょう。
実際に例を見た方が早いと思いますのでご紹介します。
下のチャートは「燦キャピタルマネージメント(2134)」のものです。
※出典:スマートチャートプラス
チャートの下段の棒グラフが出来高を表しています。
10月に入ってから出来高が急増、株価も上昇しているのが確認できますね。
出来高が急増すると株価の上げ幅も大きくなる傾向があります。
株価の上げ幅が大きいということは、それだけ利幅が大きくなり、たくさんの利益を上げられる可能性があるということですね。
しかし、それは日足や週足単位での話。
神戸物産の歩み値の画像を見てもわかるように、大引けで出来高急増になっても株価変わらずのケースもあります。
これはオーバーナイトのポジションを持ちたくないトレーダーが大引けのタイミングで多少株価が上がらなくても約定させる注文を出しているからだと私は思います。
証券会社の大引け成り売り注文は、成り売りなので指値ができません。
成り売りが多くなれば、株価は大きく下がる可能性もあります。
大引けで出来高急増しても終値で株価変わらずなのは、高い株価での指値をしない約定が増えるためだと考えられます。

出来高急増株への投資の注意点
大引けで出来高急増する銘柄への投資には注意点があります。
大引けより前に買いで入ると、大引けの成り売り注文に押され、株価が下がった状態で終値を迎えてしまう可能性があるのです。
特に投資初心者の方は、買ってすぐに株価が下がってその日の取引を終えることに、ストレスを感じる方が多いように思います。
これまで人気のなかった銘柄が急に人気化した場合、初動に乗れる分には株価上昇の波に乗れる可能性があります。
しかし、セリングクライマックスなど、そうでない場合には要注意です。
出来高だけでなく、ローソク足、移動平均、RSI、ボリンジャーバンドなど、ご自身に合ったテクニカルツールで分析してから投資を検討した方が無難です。
出来高が急増しているからという理由だけで、投資するのは投機に等しい行為ですのでお勧めしません。
大引けを含めた出来高急増銘柄への投資は、しっかりとその理由とチャート分析をしてから行いましょう。
あの、未だよくわからないのですが、大引けで大量買いが入って、それが約定しているのは、誰が売っているのでしょうか?
よくわからないです。
投資初心者です。参考になる記事ありがとうございます。
初心者なのでもうちょっと簡単に説明していただきたいのが「パッシブファンドは成績を指数と一致させるため、大引けで注文を出す場合が多い」という記載です。
パッシブファンドは投信のことと理解していいですか?
注文を出すのは「買い」「売り」両方あると思われますが
成績を指数と一致させるとはどういうことか、よろしければ、わかりやすくご説明いただけますでしょうか
よろしくお願いいたします。
ご説明ありがとうございました。15時に出来高急増しても価格があまり上下しない理由について、可能性についてご意見いただけますでしょうか。買いや売りなどどちらかが急増する理由はまちまちかと思うのですが、急にその日に示し合わせたように、売りと買いの出来高が拮抗して価格をあまり上下に変動させない理由として、同じ大口(もしくは大口同士示し合わせている?)が売り買い同時に行い、出来高急増で市場に注目を浴びさせて次に何か仕掛けようとしているのか等々を想像しています。
>おみずくんさん
コメントをありがとうございます。
あくまで可能性ですが、15時ちょうどに出来高が急増しても価格があまり上下しない理由については、小型株については大口による価格コントロールによるところが大きいのかなと思います。特に増し担保が絡んだ動きになると、ましたんラインぎりぎりでコントロールされることが多いのかなという感じがすることが多いと思います。
もちろん、確証はありませんしクロサキの印象ですので、その点はあしからず。
こんにちは。
以前の記事に対するコメントで申し訳ありません。
15時の大量売りはやはり株価はさがりますよね?
その下がった価格は歩み値に反映されているでしょうか。
>15時の大量売りさん
コメントありがとうございます。
15時の大量売りは株価が下がりますよねとのことですが、結論からいうとケースバイケースです。
たとえば、本日(2021年10月15日)で考えてみます。
TOPIX採用銘柄のオリックスを例にしましょう。
じつは、本日のTOPIXとオリックスの最高値は15時ちょうどに記録されています。日経平均も同じです。
そしてオリックスの歩み値を見ると、15時ちょうどに高値引けしているのが確認できます。
記事内でパッシブファンドの成績を指数と一致させるため~とご紹介しましたが、まさにそれに沿う形になりました。
15時の大量注文を「大量買い」と見るか「大量売り」と見るかはその日の相場状況によって異なると思います。
今日は相場全体が上がっていたので、大量売りではなく大量買いだったと思います。
そして大量買いの場合には、買い圧力が強いので15時大引けには上がる傾向が高いのではとクロサキは見ております。
なお、大引けに株価が上がった場合でも下がった場合でも歩み値には反映されます。
引け成りの大量注文もインデックス投資信託のせいか。15時の歩み値が出来高急増になるのも納得。大引けの大量買いは続くでしょうね
>出来高急増音さん
コメントをありがとうございます。
インデックスファンドの人気は益々高まっているので、今後もこの傾向は続くと思います。
大引けの大量買いに向けて値動きが荒くなるので15時ちょうど付近の売買は要注意です。個人投資家は引け成り注文はしない方が無難かと思います。
歩み値で15時に出来高が急増する理由がようやくわかりました。ありがとうございます。大引けの大量買いは株価が結構動くので注目しています。
>引け成りさん
コメントをありがとうございます。
そうですね、15時ちょうどの出来高急増はパッシブファンドの大引けの大量買いによるところが多いです。
一気に上にも下にもいくのでこの時間に注文を出すのは注意が必要だと思います。
歩み値見て15時の引け成り大量買いはおかしいって思ってたんですよ。謎が解けましたま。ありがとうございます。
>大引け大量買いのリスクさん
コメントをありがとうございます。
そうですよね。大引けの15時だけ出来高が急増しているのでおかしいと思う人は多いかもしれません。
謎が解けて良かったです。
パッシブ運用のせいで大引けの大量買いがあったとは知らなんだ。理由がわかってよかったですわ。
>歩み値15時さん
コメントをありがとうございます。
そうですよね、なかなか情報を探しても出てくるものではないので今回パッシブ運用ファンドについてもご紹介しました。
インデックス投資人気は増すばかりなので、今後も大引けの大量買いは増えると思います。歩み値の15時を見れば出来高が日々増えているかはなんとなくわかるかと思います。
大引けの大量買いにはいつも疑問を感じていました。理由がわかり合点がいきました。15時の出来高急増には気をつけるようにします❣️
>出来高急増ウォッチャーさん
コメントありがとうございます。
そうですね、歩み値などをみると15時ちょうどの大引けに大量買いが入っているのに最初は驚きますよね。
こういうことの意味などを知るとますます株式市場の面白さがわかるようになると思います。