差金決済取引をやってしまったらどうなるのですか?
こんな質問を受けることがあります。
株式投資をしていて、買い注文を出すときに
「差金決済取引に該当する可能性があります」
という警告文が表示されたことはありませんか?
ただ、株式投資をはじめたばかりの初心者には、差金決済取引になじみのない方も多いかと思います。
そこで、差金決済取引の内容のまとめをわかりやすくお伝えしていきます。
目次
差金決済取引をやってしまったらどうなる?
現物株の差金決済取引は
「金融商品取引法第161条の2に規定する取引及びその保証金に関する内閣府令」
によって禁止されています。
ですので、もし万が一現物株取引において差金決済取引をやってしまったら法令違反ということになります。
ただし、この法令には罰則がありません。
ですので、現実的には違反してしまった人がなにか大きなペナルティを受ける可能性は低いのかなと思います。
「口座にお金が入っているのに買い注文ができない」といった状態になった時に、知識があるのとないのとでは、その後の対処に差が出ます。
ですので、差金決済取引についてしっかりとお伝えしていきたいと思います。
差金決済取引とは
差金決済とは、受渡日に買付代金、あるいは売却有価証券を差し出さずに、反対売買の差金(差額)により決済する行為です。
※受渡日:約定日の2営業日後
たとえば現物株の取引で以下の取引をしようとすると差金決済取引とみなされる可能性があります。
同じ日に同じ銘柄を
・「購入」⇒「売却」⇒「購入」
・「売却」⇒「購入」⇒「売却」
しようとする場合。
現物株取引では禁止ですが、差金決済取引は信用取引では認められています。
また、株ではないのですがFXやCFDといった金融商品も差金決済取引の一種となります。
差金決済はなぜ禁止なのか?
証券会社には2種類のパターンがあります。
2種類の証券会社
・株の購入時に口座からお金が引き落とされる証券会社
・株の購入時には資金がなくても良く、受渡日(約定の2営業日後)にお金を入れておけばOKな証券会社
後者の証券会社の場合、株を買う時点ではお金がなくてもOKなわけです。
ですので、たとえば
・トヨタ株100株を2000円で購入
・同日、株価2100円で同株を売却
・売却後、再び株価2000円でトヨタ株100株を購入
という取引をすると、購入資金をもっていないのに1万円の利益を手にしたうえにトヨタ株100株を保有できてしまいます。
元手がないのに取引ができて利益を得られるのは元手を入れないと株を買えない証券口座を利用している人からしたら不公平である、との観点から禁止されているようですね。
差金決済取引とデイトレーダー
統計を取ったわけではないのですが、クロサキが思うに熟練したデイトレーダーはおそらく差金決済取引の警告を受けることは少ないのではないかと思います。
なぜなら、彼らのほとんどは信用取引をしているからです。
すでにご紹介したように、信用取引の場合は差金決済取引が認められています。
デイトレーダーの場合、「買い」からしか入れないと非常に不利なトレードとなってしまうため、多くの人が「空売り」を取り入れた戦略でトレードに臨んでいるのが一般的です。
そこから推察すると、デイトレーダーが差金決済取引に引っかかる確率は低いと予想されます。
ただ、初心者の方が株を買ったけど、すぐに下がってしまったので損切りしてしまった。でも、その後株価が上昇したので買い戻した…
というシチュエーションで結果的に差金決済取引になってしまうことはよくあることだと思います。
差金決済取引を回避する方法は追加資金
同じ日に同じ銘柄の現物売買を繰り返そうとすると、「差金決済取引に該当する可能性があります」との警告文が出ることをお伝えしました。
差金決済、やってしまったとなってしまいますよね。
では、これを回避する方法はないのでしょうか?
あります。解消法が。
それをこれから解説します。
結論からいうと、差金決済取引を回避する方法は追加資金を証券口座に入れることです。
買付余力があるのに、差金決済の警告文が出る場合が実際にはあります。
なぜ警告文が出されるのかというと、差金決済取引の条件に「同一銘柄の、同一資金での購入」という項目があるためです。
さくらくんの疑問を解消するためにも、言葉だけだとわかりづらいのでシミュレーション例を考えてみました。
2回目のイオン株の買付を行う際、1回目で利用しなかった25,000円は利用できます。
しかし、イオン株の売却で得た1,000,000円については差金決済に該当するため、利用できません。
その結果、購入資金の不足分である1,000,000円の追加が必要となるわけです。
CFDはなぜ株の取引ができるの?
実は、差金決済取引のことを英語ではCFD(Contract For Difference)といいます。
日本では外資系証券のIG証券などが「CFD取引」サービスを展開しています。
投資対象はIG証券の場合、通貨・株価指数・個別株・コモディティ・債券先物と多岐にわたります。
出典:IG証券
結論をいうと、現物株の取引をしているわけではないため差金決済取引が個別株でも
可能となっています。
ただし、10倍程度のレバレッジがかかっており、投資額以上の損失が出たり、追証が発生するリスクもあるので、金融商品の特徴を知ったうえで利用を検討した方がよいでしょう。
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