天然ガスETFは1円上昇で2倍儲かるのに買えない、売れない理由

天然ガスETF

ETFS天然ガス上場投資信託はなぜ安い?

そんなことが言えなくなる時代が来るのかもしれません…

2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻の影響を受け、コモディティ価格が軒並み上昇しています。

天然ガスも例外ではありません。


天然ガス先物

※出典:Investing.com

チャートは天然ガス先物の日足。

2020年と比較すると価格は4倍以上に跳ね上がっています。

この影響は当然ながら東証に上場する天然ガスETFにも及ぼされます。

この記事の中で紹介してきたようにこれまで天然ガスETFの価格は1円と2円の間を往復してきました。

それが22年4月8日には3.4円を付けました。

1円で買っていれば3.4倍。2円で買っていても1.7倍の利益です。

しかし、これだけでは終わらない可能性が出てきています。

ウクライナ戦争によるロシアへの西側諸国の経済制裁により、ロシアからの石炭などのコモディティを禁止する動きが活発化しており、天然ガスについてもリトアニアが輸入禁止を決めました。

ドイツやイタリアなど、主要国がロシアからの天然ガスの輸入に依存しており、本格的な輸入の禁止にはなっていませんが、ロシアの方から輸出禁止に動く可能性も考えられるため予断を許しません。

もしそうなれば、おそらく天然ガスの価格はさらに跳ね上がるでしょう。

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インフレも進んでいますし、天然ガスETFをポートフォリオに加えることも検討しています。
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クロサキもポートフォリオに組み込みました。

実は2021年に天然ガスETFを取り巻く環境に変化がありました。

この記事では、1円で買って2円で売ることができないとお伝えしてきました。

しかし、東証はETFの呼び値の変更を行い、天然ガスETFに関してはTOPIX100銘柄と同じ呼び値のルールを適用することとなりました。


天然ガスETF 呼び値

※出典:JPX

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どんな変化なのでしょうか?
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かんたんにいうと、価格1000円以下なら0.1円単位で注文が出せるようになりました。そのため、約定がしやすくなりました。


天然ガスETF 呼び値変更後チャート

チャートを見ると一目瞭然。

それまでのバーコード状態から価格が動きやすくなりました。

呼び値が変わったことで約定しやすくなったこと、ウクライナ戦争による世界情勢の影響などにより、今後も天然ガスETFの価格が上昇していく可能性が高まりました。

もちろん、投資の世界に絶対はありませんので自己判断でお願いします。

ただ、環境が著しく変化したので追記をさせて頂きました。

(22/4/8追記)

天然ガスETF(1689)は1円上昇で100%儲かるのに買えない、売れない理由

(最終更新日2022/4/8:元記事2020/1/24)
天然ガスETF1円上がるだけで2倍も儲かる魅力をご存じですか?

天然ガスETFはヤフーファイナンスを見ると、毎日のように値上がり率or値下がり率の1位もしくは上位に表示されています。

1円上がるだけで株価が2倍になるのなら買いたい!

そんな誘惑にかられることもあるでしょう。

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正直にいうと、株投資歴15年以上になる管理人はあります

何しろ毎日のように値上がり率1位にランクインされるので、ヤフーファイナンスを見るたびに目に入ってきてしまう。

気になってしまうのが人情ではありませんか?

だからきっと、天然ガスETFが気になっている投資家が多いだろうと思い、取り上げることにしました。

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天然ガスETFには、さまざまなリスクもあるようです。メリット・デメリットを正しく理解していきましょう

WisdomTree天然ガス上場投信(天然ガスETF)とは

このガスETF、正式名称は「WisdomTree天然ガス上場投信(1689)」といいます。

東証上場の天然ガスETFで、外国籍のETFの一種です。

天然ガスETF
※出典:ヤフーファイナンス

上のチャートのように、株価は1円と2円の間を往復。

株価1円で買って2円で売れば100%儲かる。

簡単に儲かる金融商品ですよね?

……理屈のうえでは。

こんな書き方をすると何か裏があると感じたあなた…正解です!

理論上は天然ガスETFを1円で買い、2円で売る。

これを延々と繰り返せば億万長者にまっしぐらです。

しかし、この戦略には「買えない」「売れない」というリスクがつきまといます。

ただ、それを語る前に、そもそも天然ガスETFとは何なのか?なぜ安いのか?

わかりやすく解説していきましょう。

この天然ガスETFの正体は、米国の運用会社WisdomTree(ウィズダムツリー)が発行する天然ガスETFです。

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Wisdomtree(WT)は世界を代表するETF(上場投資信託)を提供する会社なんですよ。ETFに特化した運用会社では唯一の上場企業となっています
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WisdomTreeは複数の国に同じETFを上場させており、天然ガスETFのメイン市場はロンドン市場と目されています

天然ガスETF以外にも、東証にはさまざまなETFが上場されています。

WisdomTreeのETF一覧

天然ガスETFはなぜ安い?

天然ガスETFはどうして安いのか?

その答えは、メインであるロンドン市場での価格も安いからです。

ガスETFロンドン市場
※出典:FINANCIAL TIMES

20/9/11現在、価格は0.0166米ドルとなっており、日本円に換算すると1.76円となります。(1米ドル=106円換算)

東京市場の価格とほぼ同じ水準です。

これが「ガスETFの価格がどうして安いのか?」への答えです。

ガスETFの理屈では儲かるが、買えない、売れないリスク

ガスETFを1円で買えば、たった1円の上昇で100%の大儲け。

理屈の上ではそうですが、やはり世の中そう甘くありません。

管理人がWT天然ガスETFへの投資を考えた時、ぶつかった問題をお話しましょう。

ズバリ、「買いたくても買えない」「売りたくても売れない」問題です。

なぜそうなるのか?

それは買い・売りともに注文数が異常に多いからです。

下図のガスETFの板情報をごらんください。

ガスETF 板情報

※引用元:SBI証券

ガスETFの板を見ると、

1円に2.4億株の指値買い注文
2円に0.7億株の指値売り注文

があります。

それに対して出来高は290万

1円で買いたいと思う投資家がいかに多いことか…

投資家の心理をよく映しだした板情報ですね。

それに対して、売りたい投資家は最低でも2円以上で売りたいので、なかなか1円での売り注文を出してくれません。

その結果、異常に多い注文数のわりには出来高が少ない現象が起きてしまいます。

1円でガスETFを買って儲かるためには、2.4億株の買い注文に並ばなくてはなりません。

証券取引所の売買ルールの1つに、約定は先着順というのがありますが、注文数が多すぎて自分の順番がなかなかやってこない…

長蛇の行列に根気よく並んで、奇跡的に1円で買えたとしても、みんな1円で買いたいので2円でなかなか売れない

★買いたい株価で買えない
★売りたい株価で売れない

約定したくてもできないことは、投資家にとってはリスク以外の何物でもありません。

しかし、1円で買って2円で売れれば100%のリターンがあるのも事実。

ガスETFに並ぶ人は、リスクを承知で儲かることに賭ける人たちなのです。

何しろ1円上がるだけで利益の期待値が100%。

リスクを取ってでも、儲かる方に賭けたくなる気持ちはわからなくありません。

ただ、もし2円で買ってしまって1円で売らざるを得ない状況になってしまった場合、たった1円の差で-50%の損失になりますので注意が必要です。

こういう時に、売りたい価格で売れないというジレンマに陥り、大変なストレスになります。

ガスETFの上場廃止の可能性

これだけ1~2円で価格が動かない天然ガスETF。

はたして上場している意味があるのか?
そんな疑問を持つかたもいることでしょう。

ガスETFの上場廃止の可能性についても言及しておきます。

結論からいうと、Wisdom Treeが上場廃止にしない限りは現行の東証のルール上は上場廃止にはなりません。

上場会社の場合ですと、東証の規程では、上場会社の株価が3ヶ月1円の状態がつづくと上場廃止になります。

※上場廃止の株がどうなるかは、下記記事に詳しく書いてあります。
↓↓↓
上場廃止の株はどうなる?【徹底解説】

しかし、1689天然ガスETFは会社ではなくETF。
この基準が適応されないのです。新たにルールが作られれば話は別です。

東証は市場再編を含めて改革を行っている真っ最中なので、将来的には上場している意味がほとんど感じられないETFを上場廃止にする方向に動く可能性はあるかもしれません。

※東証の市場再編&改革について下記記事で詳しく書いています。
↓↓↓
東証プライムの企業一覧、最新500社リストを公開

WisdomTreeのガスETFはハイリスク・ハイリターン

ガスETFへの投資は、大きく儲かる可能性もあるため、リスクテイカー(大きなリスクを取って投資する人)にとっては魅力的な投資先といえるかもしれません。

しかし、一般的な投資家にとっては、この天然ガスETFを買うことは投資ではなく投機になることでしょう。

あくまで管理人の私見ではありますが、ガスETF(WisdomTree天然ガス上場投信)には投資初心者は手を出さない方が無難だと思います。

特に、退職金を運用したり、老後の資産を構築するためにリスクをなるべく減らして安全な運用をしたい人にはおススメできません。

せっかくの投資資金を減らしたくはないでしょうから。

注文を出しても、なかなか約定しないのは結構イライラするものです。

それに耐え、リスクを承知の上でハイリターンを狙いにいく人には良いかもしれません。

ただ、ガスETFに参加している投資家は機関投資家が多いらしいので、個人が機関投資家に勝てるかというとかなり難しいと思います。

とはいえ、短期ではなく数年間保有するつもりでガスETFを買うのなら、数年後に10円くらいに上がる可能性はゼロではありません。

1円で投資して10円になれば10倍。

夢のテンバガーです。

オイシイといえばオイシイ銘柄ではあります。

ですが、筆者は決して推奨はしません。

以下は、天然ガス先物の月足チャートです。

<天然ガス先物の月足チャート>
ガスETF チャート

参照:トレーディングビュー

チャートを見ると、2008年に天井をつけて以降、下降トレンドが続いています。

仮に天然ガスETFを株価1円で買えたとしても、数倍になるにはかなり時間がかかりそうですね。

ただ、ガスETFは気になる銘柄ではあるので、今後もフォローはしていきたいと思います。

2019年にテンバガーになった個別株には8円だった株もありますので、天然ガスの価格が上昇するなど、何かのきっかけで人気に火が付けば大きな利益も上げられることでしょう。

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カーボンニュートラル実現に向けて、液化天然ガスの生産・消費によって生じる二酸化炭素相当分を植林などの手段で削減・吸収する取り組み「カーボンニュートラルLNG」が注目されているそうですよ

参考:動き出すカーボンニュートラルLNG、脱炭素へ新手法

1円の銘柄に投資するというのは、ある意味究極の逆張り。

しかし、しっかりとした分析をしないとヤケドします。

※投資はくれぐれも自己責任と自己判断でお願いします。

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