TOB銘柄の見つけ方 TOB候補の共通点とは?

TOB銘柄

TOB銘柄の見つけ方を投資診断士が徹底解説、なぜTOB候補銘柄がねらい目か?

(最終更新日:2021/8/5、元記事:2020/7/20)
突然ですが、あなたはTOB銘柄の見つけ方をご存じですか?

正確には、TOBが予想される銘柄、つまりTOB候補銘柄の見つけ方をご存じでしょうか?

TOB銘柄になると、買収する企業は買収される企業の株価にプレミアムを付けて保有株を買い取ってくれます。

最近の例ですと、2020年9月29日にNTT(9432)がNTTドコモ(9437)を完全子会社化するためにTOB(株式公開買い付け)すると発表しましたね。

<NTTドコモの株価チャート>
TOB銘柄:NTTドコモ
※引用:ヤフーファイナンス

ドコモの場合、親会社NTTが発表する前日に、TOB情報が日経新聞電子版によって報道されたため、29日から株価はストップ高となりました。

NTTが正式にIR発表した29日。
買付価格が3900円と発表されたため、サヤ寄せする形で3900円近辺まで株価は急騰しました。

もしNTTドコモ株を保有していれば、大きな利益になった事例です。

他にも、伊藤忠のファミリーマートへのTOBもありましたね。

今回のような親子上場解消のテーマは、株式市場の今後の注目となっていて、TOBは加速していくことが予想されます。

もちろんTOBは親子上場だけが理由ではありません。

しかし、TOB銘柄の見つけ方を知っていれば、TOB候補の銘柄にいち早く投資でき、大きなリターンを得られる可能性が高いことはご理解いただけたと思います。

実は、TOBが予想される銘柄(TOB候補)というのは、ある程度予想できてしまいます。

そこで、TOB銘柄の見つけ方、探し方について情報共有をしていきたいと思います。

TOB銘柄の見つけ方

TOB銘柄の見つけ方にはコツがあります。
というのも、TOB候補には共通点や特徴があるのです。

TOBされやすい銘柄の特徴を把握しておけば、次にTOBされる銘柄の予想も立てやすくなります。

TOB候補の銘柄の特徴を分類してみました。

TOB銘柄の特徴1:株安・低PBR・低ROE・キャッシュリッチ
TOB銘柄の特徴2:不祥事を起こし業績低迷
TOB銘柄の特徴3:業界の中位企業(業界トップではない企業)
TOB銘柄の特徴4:親子上場銘柄

■株安・低PBR・低ROE・キャッシュリッチ

「株安」「低PBR」「低ROE」「キャッシュリッチ」の企業は、自社の資産を活かして稼げていないことを意味します。

ヘッジファンドなどは、そうした企業を狙って株を買い進めていくことがあります。

その過程でTOBを仕掛け、経営に深く関与できるまで持ち株を増やす場合があります。

特にキャッシュリッチな企業に対しては、経営の改善を迫って企業価値を高めたり、配当を大幅に増やす要求をするなどしてくるのが常とう手段。

ヘッジファンドが投資した以上の企業価値になる場合もあるため、TOB銘柄になれば株価が高騰することが想定されます。

TOBをするためには多額の資金が必要になりますので、株価が安い企業が狙われやすくなることも忘れてはならない点です。

■不祥事を起こし業績低迷

不祥事を起こした企業の株価は一般的に大きく下落します。

特に致命的な不祥事の場合には、一般の投資家から見放されてしまう場合があります。

投資ファンドの中には、そんな銘柄を買い進めていき、役員を送り込んで経営を立て直して企業価値を高める場合があります。

最近だと旧村上ファンドの流れをくむファンドがレオパレス株を買い進めていた時期がありました。

株を買い進めている時には、このままTOBを仕掛けるのではないかとの憶測も流れました。

結果的にTOBには発展しませんでしたが、TOBまで発展するケースもあり得るため、不祥事銘柄には注意しておきたいところ。

敵対的買収の場合もありますが、救済的な意味合いでTOBをする企業もあります。

■業界の中位企業(業界トップではない企業)

規模を大きくしていかないと生き残りが難しい業種の場合、同業他社にTOBを仕掛けたり、仕掛けられたりする場合があります。

例えば、島忠(8184)です。

ホームセンター業界8位の島忠は家具業界首位のニトリにTOBから受けることとなりました。

元々はホームセンター業界首位のDCMホールディングスが島忠へのTOBを進めていましたが、ニトリが後から参戦した格好です。

ニトリの方がDCMホールディングスよりも高いTOB価格を設定したため、DCMホールディングスのTOBは失敗に終わりました。

しかし、島忠の株主からしたら、DCM(TOB価格4200円)よりも高く株を買い取ってもらえる(5500円)ため、大きな利益となります。

■親子上場銘柄

近年、日本の株式市場では親子上場解消の機運が高まっています。
親子上場企業が多いのは先進国で見ても、日本くらいと言われています。

親子上場には問題点があるためです。

その最たるものが、子会社の株主の権利・利益を損なう企業行動を親会社が取るおそれがある点です。

まあ、簡単にいうと親会社が自社の利益を優先させることで子会社の利益を損なわせる可能性が出てくるということです。

これは子会社の方の株主にとってはたまったものではありません。

そんなわけで、親子上場解消が注目される投資テーマとなっています。

近年、親子上場解消した銘柄の代表例を一覧にしてみました。

親会社:味の素(2802)、子会社:カルピス(2591)※2007年9月上場廃止
親会社:アシックス(7936)、子会社:アシックス商事(9814)※2014年3月上場廃止
親会社:イオン(8267)、子会社:ダイエー(8263)※2014年12月上場廃止
親会社:オリックス(8591)、子会社:大京(8840)※2019年1月上場廃止
親会社:SCSK(9719)、子会社:Minoriソリューションズ(3822)※2020年1月上場廃止

TOBをする親会社はプレミアムを払って完全子会社化します。

ですので、TOB銘柄の見つけ方をマスターしておけば、こうしたTOB候補を予想していち早く投資できるチャンスが広がります。

TOB銘柄への注意点

TOB候補・TOB銘柄への投資の注意点がいくつかあります。

TOB銘柄の見つけ方を理解してTOB候補だと予想する銘柄を買ったとしても、予想に反してTOBされない場合があります。(おそらく確率的にはこちらの方が高い)

その場合は、どの程度まで待つのかを決め、タイムリミットになってもTOBされない場合は、手仕舞うことを考えた方が良いでしょう。

空売りしている銘柄がTOBされた時も要注意です。

また、TOBにはいくつか種類があり、特徴を知っておくことも重要です。

■「友好的TOB」と「敵対的TOB」

文字通りですが、友好的TOBはTOBされる側がTOBに賛同している場合のことを指します。
買収する側、買収される側が双方ともメリットがあると判断しているため、スムーズにTOBが進む可能性が高まります。

一方、敵対的TOBの場合、TOBされる側の経営陣は反対の立場を取り、買収防衛策を講じる場合があります。
その策の1つに、第三者割当増資があります。

この手法は、新株を発行して他の友好的な企業に大株主になってもらう戦術で、新株を大量に発行するため、既存株主の持っている一株価値が下がってしまい、株主にとっては必ずしも良い方法とは言い切れません。

また買収合戦になって会社のイメージが損なわれるリスクもあります。

■「一部買付」と「全部買付」

株式公開買い付けには一部買付と全部買付の二種類あります。

上記のニトリの場合、島忠の50%の株式取得を目指しており、全部ではないため一部買付となります。

一方、ファミリーマートにTOBした伊藤忠商事はファミマの100%子会社を目指して公開買い付けを行ったため、全部買付となります。

全部買付と一部買付の何が違うのでしょうか?

全部買付の場合、TOB価格1000円だとしたら、確実に買い取ってもらえます。

しかし、一部買付の場合は全部の株を買い取ってくれるわけではないので、確実に1000円で買い取ってもらえるわけではありません。

TOBへの応募者殺到の場合、抽選になります。

抽選から漏れる可能性もあるのTOBが全部買付かどうか、確認することが必要です。

■上場廃止による値動き

TOBが決定すると一般的にはTOB価格に寄る形で株価は急騰します。

そして、TOBが成立すると猶予期間を経て上場廃止になります。
空売りしている場合には、損切り覚悟ですぐに決済することをおススメします。

※上場廃止の株がどうなるのか、詳しくはコチラにまとめています。
↓↓↓
上場廃止の株はどうなる?【徹底解説】

最後に

今回お話したTOB銘柄の見つけ方は、あくまでも筆者のオリジナルの探し方です。
教科書などに載っているものではないのであしからず。

確実にTOBされるというわけではありませんので、投資は自己責任でお願いします。

ただ、TOB候補を狙った戦略の1つの考え方にはなると思います。

自分でTOB銘柄の見つけ方を実践するのは自信がないと思うかもしれませんね。

その時は次にくるテーマ株をAIが探しだしてくれるロボアドバイザー話題株セレクトが選択肢に挙げられそうです。
きっと親子上場解消に次ぐテーマ株を探してくれることでしょう。

過去の実績から検証した記事もあるので、ご興味があればご覧になってみてくださいね。

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