割安株(バリュー株)のスクリーニング、探し方についてお悩みの方が多いようです。
今回はそのお悩み解決に役立つ、割安株・バリュー株の見つけ方をお伝えしていきます。
2022年の株式市場はグロース株からバリュー株に物色される銘柄が移っています。
下のチャートをごらんください。
※出典:トレーディングビュー
TOPIX500バリューとTOPIX500グロースを比較したチャートです。
※TOPIX500バリュー:TOPIX構成銘柄の時価総額の大きいバリュー株の指数
※TOPIX500グロース:TOPIX構成銘柄の時価総額の大きいグロース株の指数
この2つの指標で東証1部のバリュー株とグロース株のトレンドがわかります。
チャートを見るとわかりますが、2022年1月にグロースとバリューが逆転しバリュー株の方が、パフォーマンスが良くなっているのがわかります。
これは米国FRBの金利上昇やインフレなどを見越して、投資資金がグロース株からバリュー株にシフトしていることを意味します。
ここにウクライナ戦争などのマクロ要素も加わり、現在の株式市場は不透明感が増しています。
そんな時に見直されやすいのが割安株(バリュー株)です。
目次
割安株(バリュー株)とは、PBR1倍割れのお宝株
割安株(バリュー株)とは、BPS(1株あたり純資産)よりも株価の低い銘柄を一般的に意味します。
※BPS:Book-value Per Share
言い換えれば、PBRが1倍割れを起こしている銘柄ということ。
★PBRとは?★
PBRとは、株価がBPSの何倍まで買われているか、つまり1株当たり純資産の何倍の値段が付けられているかを見る尺度です。
※PB:Price Book-value Ratio
株価:1986円(2022年3月8日の終値)
BPS:2633.48円
PBR:1986円 ÷ 2633.48円 = 0.75倍
2633円の価値のある株を1986円で買えるのはお買い得といえるでしょう。
PBR0.75倍とは、言い換えれば25%OFFのバーゲンともいえます。
つまり、
結論:PBR1倍割れでオリックス株は割安といえます。
割安株投資、バリュー株投資とは、こうした現在の株価が割安な銘柄をスクリーニングして投資していく手法のことです。
バークシャー・ハサウェイを率いるウォーレン・バフェットの師匠ベンジャミン・グレアムがあみ出した手法です。
この投資手法の基本的な考え方は、割安に放置されている銘柄の株価はいつか見直されるという前提に立っています。
なので、グレアム自身は単純にPBR1倍割れも銘柄を探して投資していたそうです。
ただ、現在の株式市場ではPBR1倍割れのまま、株価が上がらない銘柄も山ほどあります。
ですので、割安株といえど、株価が上がりそうなものを見分けるスクリーニング能力と探し方のノウハウが必要になります。
割安株の高配当銘柄はお買い得
割安株(バリュー株)の高配当銘柄はとてもお買い得です。
その理由を以下にまとめました。
・下値リスク限定的
・株価の上昇をゆっくり待てる
・株価上昇+高配当+株主優待のトリプルメリットも狙える

オリックスの例をもういちど見てみましょう。
先ほどの情報に配当と株主優待情報を追加しています。
<オリックス(8591)>
株価:1986円(2022年3月8日の終値)
BPS:2633.48円
PBR:0.75倍
年間配当:78円
配当利回り:3.92%
株主優待:あり(カタログギフト・割引カード)


オリックスのような会社であれば、株を買って配当と優待をもらいながら株価が上昇するのをゆっくり待つだけでも良いかもしれません。
配当や優待目的の人であれば、売る必要すらありません。
メガバンクの預金金利が0.001%の今、「配当利回り3.92%+株主優待」はとても魅力的です。
割安株のメリットは、下値リスクが低く抑えられていることです。
大垣共立銀行の例を見てみましょう。
<大垣共立銀行(8361)>
株価:1904円(2022年3月9日前場終了時)
BPS:7819.83円
PBR:0.24倍
年間配当:70円
配当利回り:3.68%
株主優待:あり(金利優遇・カタログギフト)
PBRは0が最低値(株価0円)です。
PBR0.24と0.7で比較すると、これだけ下値リスクに差がでます。
大垣共立銀行の場合は、すでに相当割安株なので、ここからさらに大幅下落することはグロース株などよりは考えにくいものと思われます。
割安株・バリュー株の探し方(見つけ方)
割安株(バリュー株)の探し方を解説していきましょう。
割安株の見つけ方のカギを握るのは
スクリーニングツール
スクリーニング条件
の2つです。
では、どんなスクリーニングツールを使い、どんなスクリーニング条件で割安株を探すのか?
クロサキ流の方法をご紹介していきます。
割安株・バリュー株のスクリーニングツール
割安株のスクリーニングは基本的にご利用されている証券会社のツールを使うことになります。
しかし、それだけだと話が終わってしまう…
なので、無料で利用できる割安株やバリュー株の検索におすすめの無料スクリーニングツールをご紹介しましょう。
その名は
バフェット・コード
です。
※出典:バフェット・コード
バフェット・コードはバリュー投資家の代名詞ともいえる「ウォーレン・バフェット」の名を冠したツールだけあり、割安株の検索能力に長けています。
バフェット・コードでは割安株を検索するのによく利用される下記の指標によりスクリーニングすることもできます。
PER
PBR
PER×PBR
EV/EBITDA
PSR
PEGレシオ
PCFR
もちろん、これはほんの一例です。
ROEや配当利回り、増収増益率など
割安性だけでなく、収益性を絡めた検索もできます。
ボロ株やテンバガー候補をスクリーニングするのにも役立つサイトなので、ご存じない方はチェックしてみると良いかと思います。
※バフェット・コードの使い方は下記記事で解説しています。
↓↓↓
バフェット・コード 使い方をわかりやすく図説【プロ推奨】
割安株・バリュー株のスクリーニング条件
割安株やバリュー株のスクリーニング条件をご紹介します。
これからご紹介するのは、あくまでクロサキオリジナルのものです。
あなたの割安株の探し方のご参考になれば幸いです。
なお、ここではバフェット・コードをつかったスクリーニングの結果をご紹介します。

PER(会社予想):10倍以下
PBR:1倍以下
PEGレシオ:1倍以下
EV/EBITDA:5倍以下
ROE:10%以上
自己資本比率:50%以上
配当利回り(会社予想):3%以上
営業利益率:10%以上
※出典:バフェット・コード
下表は上記の割安株のスクリーニング条件で検索した結果です。
PER10倍以下
PERとはPrice Earnings Ratioの略で、日本語では「株価収益率」と呼ばれます。
株価が1株あたり純利益(EPS:Earnings Per Share)の何倍まで買われているか、つまり1株あたり純利益の何倍の株価なのかを見る指標です。
日本株のPERの平均は15~17倍程度といわれており、10倍以下だと割安といえるでしょう。
PBR1倍以下
PBRとはPrice Book-value Ratioの略で、日本語では「1株あたり純資産倍率」と呼ばれます。
株価が1株あたり純資産の何倍かを見る指標です。
現在の株価が企業の資産価値(解散価値)に対して割高か割安かを判断する目安となります。
PBRが1倍を割ると割安とみなされるため、スクリーニング条件も1倍以下とします。
PEGレシオ1倍以下
PEGレシオとはPrice Earnings Growth Ratioの略で、企業の中期的な利益成長率を考慮して株価の水準を測る指標です。
予想PERを1株あたりの予想利益成長率で割って算出する。
PEGレシオが1倍以下なら割安、2倍以上なら割高と判断します。

EV/EBITDA5倍以下
EV/EBITDA倍率とは企業価値倍率とも呼ばれ、企業を買収した場合、その企業が稼ぐ本業利益の何年分で、買収コストを回収できるかを測る指標です。
つまりEV/EBITDA倍率が低いほど、コスパの良い買収と判断できます。
これはPERに似た指標といえるでしょう。
クロサキは5年で回収できればかなり優秀だと考えるため、5倍以下としました。
ROE10%以上
ROEはReturn On Equityの略称で、日本語では「自己資本利益率」と訳されます。
企業の自己資本(株主資本)に対する当期純利益の割合を意味し、下記の計算式で算出されます。
ROE(%)=当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
または
ROE(%)=EPS(1株あたり利益)÷ BPS(1株あたり純資産)× 100
ROEは、企業が自己資本をつかってどれだけ利益を上げているかを示す指標で、高いほど経営効率が良いと判断します。
2021年2月16日付の日経新聞によれば、コロナ禍前の東証1部企業の平均ROEは8%台。コロナ禍で5%台に低下したとのこと。
米国企業だとROEが10%以上の銘柄も多く、割安株のスクリーニングでもできれば10%以上はほしいところです。
自己資本比率50%以上
自己資本比率とは、返済不要の自己資本(純資産)が全体資本に占める割合を示す数値です。
自己資本比率が小さいほど、他人資本(負債)の影響を受けやすく、会社経営が不安定になるといわれています。
一般的に自己資本比率が高いほど財務が安定しており、倒産しにくい会社といえます。
自己資本比率は高いほどよいといわれますが、一概にそうとは言えません。
低すぎるのは問題ですが、高すぎても自己資本を上手に活用して稼げないようならそれもまた問題なのです。
日本の企業は利益を貯め込んで、設備投資や社員や株主への還元がおろそかだと批判されることが多い現状があります。
大事なのは、自己資本と他人資本をバランスよく使い分けて稼ぎ出す力が企業にあるかです。
貸借対照表は英語で「バランスシート」と呼ばれますが、まさにバランスが大事だと思います。
割安株をスクリーニングする際、自己資本が50%以上あればそう簡単に倒産することもないでしょう。
配当利回り3%以上
割安株(バリュー株)の見つけ方の大事な要素に「配当利回り3%以上」を入れています。
その理由を3つご紹介。
理由2:インカムゲイン(配当)が目的の資産運用には3%以上は必要
理由3:多額の配当を出せる企業であれば倒産リスクが低い
2019年に書いた記事「超割安銀行株に将来性はある?PBR0.1倍、高配当でも株価上がらず」では、タイトルにあるように銀行株がPBR0.1倍の超割安株の高配当銘柄であることを解説しています。
あれから3年。
現在の銀行株はどうでしょうか?
株探で銀行株をリストアップしてみました。
※出典:株探
いまだにPBR0.5倍割れの銘柄ばかり。0.1倍の銘柄数は少なくなりましたが、それでもまだ割安です。
配当利回りは4%以上もある銘柄が多いのも確認できます。
業種によっては株価上昇に時間がかかることがお分かり頂けたことでしょう。
しかし、配当利回りが4%もあり、銘柄によっては株主優待もあるのであれば、ゆっくりと保有して株価上昇を待つことができます。
配当を再投資に回せば、持ち株を増やせるので株価は上がらなくても株数を増やすことで資産を増やせます。
そういう意味でも、配当利回りは3%以上はほしいところ。
ただし、配当性向が100%以上の異常に高い銘柄には要注意です。




※高配当性向のリスクについては、下記記事で解説。
↓↓↓
配当性向100%以上の高い企業がハイリスクな理由
営業利益率10%以上
割安株のスクリーニング条件に「営業利益率10%以上」を加える人はあまりいないかもしれません。
用語解説からすると
「営業利益」とは、企業の本業による儲け(利益)です。
計算式は以下のとおり。
営業利益 = 売上高 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費
営業利益率とは売上高営業利益率のことで、売上に占める営業利益の割合です。
この営業利益率は業種によって平均が大きく異なります。
以下に、マネフォワードから引用した業種別平均値をご紹介します。
小売業のように薄利多売な価格競争を強いられる業界は、どうしても低くなりがちです。
営業利益率が高いということは、商品・サービスの競争力が高く、価格競争をしなくても済むビジネスをしている可能性が高いことを意味します。
営業利益率が10%以上あれば、とても優秀な企業だと思います。
もしそんな企業が割安株の状態で放置されていたら、いずれ株価の見直し買いが入ることでしょう。
割安株の探し方 おすすめはバフェット流投資手法
割安株の探し方や見つけ方について、おすすめの方法をご紹介します。
基本的には、今回ご紹介したバリュー株のスクリーニングが一番おすすめです。
ここでは、「プラスα」として、バリューグロース株について解説していきます。
バリューグロース株投資の大家といえば、ウォーレン・バフェット。
バフェットは師症であるベンジャミン・グレアムからバリュー株投資を学びました。
しかし、グレアムの投資法では、割安のまま株価が上がらない銘柄も多くありました。
それを打破する「グロース株投資」の考えをバフェットに与えたのが、フィリップ・フィッシャーです。
バフェットは影響を受けた人物として「グレアム85%・フィッシャー15%」という言葉を残しています。
つまり、バフェットはバリュー株とグロース株の良いところをミックスさせた投資手法「バリューグロース株投資」で巨額の資産を築いていったといえるでしょう。
バリューグロース株がおすすめ
「バリュー株」と「グロース株」は正反対の株として語られることが多くなっています。
例えば、バリュー株が上がればグロース株が下がるなど…
逆相関関係にあると考えられていることもあり、このような捉えられ方をされてしまっているのだと思います。
グロース株の中にもバリュー株はあります。
そのグロース株の中のバリュー株を見つけていくことが「バリューグロース株投資」の醍醐味です。
ただし、グロース株の場合、現在の価値に対する割安度ではなく、将来の価値に対する割安度をみることで割安だと判断されることが多い傾向にあります。
バリューグロース株の探し方
将来の価値に対する割安度をどのように測るのか?
DCF法(ディスカウントキャッシュフロー)が有名です。
しかし、ここでは他の方法をご紹介します。
なぜDCF法ではないのかといいますと、
1、DCF法の計算式が非常に複雑で初心者向きではない
2、もっと簡単な方法で将来の価値に対する割安度を測れる
という理由によります。
ちなみに、DCF法は企業が生み出すフリーキャッシュフローを現在価値に割り引くことで企業価値を算出する方法です。
おそらくこの一文を読んだだけでは、意味がわからないと思います。
だからこそ、誰でも実践しやすいかんたんな方法をご紹介したいと思います。
下図にその手順をまとめました。

「会社の中期経営計画」
「会社四季報の来季以降予想」
どちらかから将来の売上高・利益(営業・経常・当純)情報を得る
<STEP2>
将来の当期純利益を発行済み株数で割り、将来のEPS(1株あたり純利益)を計算
<STEP3>
現在の株価を将来のEPSで割り、PERを計算して割安かを判断(目安:PER10倍以下)
たとえば、ITサービス大手のSCSK(9719)は2020年4月28日、「2020年4月~2023年3月の中期経営計画」を発表しました。
※出典:SCSK「2020年4月~2023年3月の中期経営計画」
この資料の2023年3月期目標の数値に着目するわけです。
EPSを計算するには当期純利益がわからないと出ません。
この資料には掲載されていないので、四季報を見ます。
四季報には予想値として、2023年3月期の同社の純利益は367億円と掲載されています。
同じく四季報には同社の発行済み株数が312,545,409株であることも載っています。
よって、EPS(1株あたり純利益)=367億円÷312,545,409株=117.4円となります。
この中期経営計画が発表された日の同社の終値は1780円(株式分割調整後の株価)。
PER=1780円(株価)÷117.4円(EPS)=15.16倍
となります。
現在の株価を3年後の将来価値で割って算出したPERは15倍。
高くはありませんが、割安というほどでもありません。
もしこのPERが10倍未満なら「バリューグロース株」として、投資を検討することになります。
計算が多くなってしまいましたが、これがクロサキ流のバリューグロース株の探し方です。
バリュー株の探し方を探していたので助かります^_^
バリューグロース株の見つけ方ありがとうございました
スクリーニングしてみます⁉️
>割安株大好きさん
コメントをありがとうございます。
グロース株からバリュー株に流れが来ています。まだしばらくはこの流れが続きそうです。今回ご紹介した割安株の探し方がお役に立てればうれしいです。