株価予想をする上で押さえたいポイント ~不確実性の重要性~

株価予想の重要なポイント

株価予想は当たらない?

株をやる人がこれから上がりそうな銘柄を予想するのは当然です。

しかしながら、専門家の意見や他のあらゆる媒体を読み漁り「これだ!」の思う銘柄に投資したものの、その予想が見事に外れ大きな損失を出してしまった、という経験をお持ちの方は、非常に多くいらっしゃると思います。

ファンドマネージャーが詳細な分析を行った上で厳選した銘柄を運用した実績と、テキトーにダーツを投げて当たった銘柄を運用した実績がほとんど変わらない、という研究報告も存在し株式を含め経済全般に関する予想が、専門家にとってもいかに困難であるかを物語っています。

専門家にとってもこれほど難しい株価や経済の予想を、そうではない一般の人が立てることはそもそも可能なのでしょうか。

予想が当たる確率をあまり高くは見込めない状況であっても、「なんらかの見通し」を立てることは行動を起こす上で不可欠であり、その際知っておくと便利なのが「不確実性」の知識です。

以下では「不確実性超入門」(田淵 直也著 ディスカヴァー・トゥエンティワン発行)より、不確実性を形作る「ランダム性」と「フィードバック」に関する記述を抜粋し、株価予想をする上で押さえたいポイントについて説明します。

ポイント①「ランダム性」

ランダムとは全くの偶然によって物事の結果が左右されることであり、コイントスやサイコロ投げがそれに該当します。

コイントスで表が出る確率は1/2であり、サイコロ投げで「1」の目の出る確率が1/6であるのは当たり前のことですが、本来確率しか存在しない物事に無理やり因果関係を見出そうとしてしまう習性が、人間には備わっています。

例えば宝くじが当たるかどうかも、本来は確率でしか計ることはできないはずですが、大当たりすると「陰徳を積んだから」などといった、何等かの理由や原因を人間は見出そうとします。

しかし本来確率だけで考えるべき所に、因果関係を引っ張ってくると情報に歪みが生じ、それが誤った判断や決断につながることは多く見受けられると思います。

ポイント②「フィードバック」

フィードバックとは、ある結果が生まれた時にその結果が原因となって新たな結果が再生産される自己循環のプロセスのことであり、先行きの不安から売りが活発化し、それがさらなる売りを生む「売りが売りを呼ぶ」現象などが該当します。

「売りが売りを呼ぶ」フィードバックは「自己増幅的フィードバック」と呼ばれ、連鎖反応が起こることで結果が極端に振れることが多いのに対し、それを抑える働きを持つ「自己抑制的フィードバック」も存在します。

例えば売りが集中し株価が下がることで逆に買いが入り始め、そこから持ち直すことで長期的には株価が安定するような事象は、「抑制的フィードバック」が働いていると言えます。

フィードバックで問題なのは、ある出来事が自己増幅的または自己抑制的に作用するのかどうかはランダムに決定され、誰にも分からない点が挙げられます。

またきっかけはほんのささいな出来事であったものが、自己増幅的フィードバックを繰り返すうちに大問題へ発展することで、原因の重要性と結果の重要性が全く釣り合わなくなることも、予想を難しくしている一因と言えます。

ではどうするか?

不確実性を構成する二大要素として「ランダム性」と「フィードバック」について説明しましたが、株式市場においてこの二つを排除するのは不可能であるため、正確な予想を立てることは誰にもできません。

不確実性が存在する限り予想が外れることがあるのは当たり前であり、問題なのは予測不能なことを予測できると思い込む考え方にあると言えます。

株式投資に限らず成功している組織や個人は、この不確実性への対処が共通して上手いと言えます。

特定の予想や計画にこだわることなく環境の変化に柔軟に対応し、多くの小さな失敗を繰り返す過程で、要所では成功をつかみ取る姿勢が重要であると感じます。

そのためには「勝率」や「勝ち星の数」といった「点」に注意を向けるのではなく、長期にわたるトータルでとらえた時の「総得失点差」を意識する必要があります。

一回一回の勝負にこだわりすぎると、本来予測できないはずの不確実性をはらむ事象に無理な因果関係を押し付け、負けが込んでも損切りできないことがよくあるはずです。

しかし「総得失点差」に意識を向け、長期にわたるトータルでの利益確保を目的とすれば、一回一回の勝負に深入りしすぎることはなくなります。

ダメだとわかったら潔く負けを認め「勝率」や「勝ち星の数」を捨てることで、長期にわたる成功をつかむことが、株式投資に限らず他のあらゆる物事にも共通する賢い戦い方ではないかと考えます。