パラボリック(パラボリックSAR)の見方や使い方を、初心者の方でもわかりやすく解説していきます。


目次
パラボリックとは
パラボリックとはチャートの上または下に放物線のラインを表示させ、相場のトレンド転換点を探るのに利用されるテクニカル指標です。
転換点のことを「SAR」(ストップ&リバース)と呼び、SARをつないだ形状が放物線状になっていることから、パラボリックと呼ばれています。
◆パラボリックの基本的な使い方◆
SARと実際の株価の交差するポイントが“転換点”を示し、どてん(途転)を繰り返してトレードするのがパラボリックの基本的な使い方です。
現在のポジション(買い玉・売り玉)をストップ(Stop)し、反対(Reverse)のポジションを取っていく戦略ともいえます。



パラボリックSARを考案したのは、米国のJ.W.ワイルダー。RSIやDMIといったオシレーター系ツールの考案者として知られる人物です。
ワイルダーは株価の値動きの勢いが次第に弱くなり、やがて「転換点」(SAR)を迎える点に注目しパラボリックを考案したそうです。
※関連記事
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ボリンジャーバンドの設定と使い方のコツ【株】
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パラボリックSARの計算式
パラボリックSARの計算式をご紹介します。
パラボリックを使うのに計算式を覚える必要はありません。
ただ、より理解を深めた方がインジケーターへの理解度も深まるのでかんたんにご紹介します。
パラボリックSARの計算式
※日足の場合
SAR = 前日のSAR + AF ×(EP - 前日のSAR)
※AF(Acceleration Factor):加速因数
◆AF値は、考案者ワイルダーが最適とする0.02を使う場合が多い
◆初期値0.02から0.02ずつ増加し、最大値を0.2とする(0.02 ≦ AF ≦ 0.2)
◆0.02増加されるのは、最高値or最安値が更新された場合のみ
※EP(Extreme Point):「買いポジしている期間中の最高値」「売りポジしている期間中の最安値」
パラボリックの見方と使い方
パラボリックの見方と使い方を解説していきます。
利用するサイトや証券会社のツール、アプリによって多少ビジュアルは異なりますが、見方と使い方は一緒です。
参考までにトレーディングビューとSBI証券アプリのパラボリックをご紹介。
出典:SBI証券
ご利用の証券会社によってはパラボリックが利用できない場合があります。
その時はカスタマイズや他の指標との組み合わせも自由にできることから、トレーディングビューの利用をおすすめします。
それではパラボリックの見方から解説していきましょう。
パラボリックの見方・使い方
パラボリックの見方と使い方を解説します。
以下のチャートは日経平均にパラボリックSARを表示させた画像です。

パラボリックSARの見方
●上昇トレンド時:SARはチャートの下に表示
●下降トレンド時:SARはチャートの上に表示
●パラボリックの売買ポイント:チャートがSARにタッチしたらトレンド転換
→下に表示されるパラボリックSARがチャートにタッチするまで上昇トレンド継続
→SARがチャートにタッチした後は、トレンド転換で上側にSARが表示される(下降トレンド開始)

パラボリックSARの使い方
●売買サインが出たら「新規のポジションを建てる」か「どてん売買」を行う
●買いサイン:下降するSARが上昇している日足と交差したポイント
●売りサイン:上昇するSARが下降している日足と交差したポイント
※チャートの「買」「売」と記した点が売買ポイント
※「買」「売」サインが点灯してから、SARが2つ3つ出てから買っても(売っても)遅くはない
パラボリックの「だまし」の回避方法
パラボリックの「だまし」についてもお話しておきます。


再掲載のチャートですが、この図にも「だまし」があります。
チャートの左側の「だまし」と記した箇所に注目してみてください。
「買」のサインが出ているのですが、株価(ローソク足)は大きな下落をしています。
もし買いサインが出てすぐに買いポジションを持っていたら、大きな損失になっていた可能性があります。


パラボリックのだまし回避法
●売買サイン(トレンド転換サイン)が出ても、すぐに飛びつかない
→トレンド転換をしっかり確認してから売買する
●レンジ相場を避ける



パラボリックはトレンドフォロー系のインジケーターのため、トレンドが出ている時には強さを発揮するのですが、レンジ相場の時には「だまし」が頻出することになり強みを発揮できません。
パラボリックの最強設定【株式投資】
パラボリックはパラメータの設定を変えられます。
タイトルが少し大仰ですが、パラボリックの最強設定(株)と題してご紹介します。
結論からいうと
パラボリックの株式投資における最強設定は以下の通りだと思います。
パラボリックの最強設定
初期値(Default):0.020
最大値(MAX):0.200
加速因数(AF):0.010

設定を考えるときに、一番頭を悩ますのはおそらく加速因数です。
加速因数を大きくすると「だまし」が増え、小さくすると少なくなるものの、今度は売買サインが出にくくなってしまい取引機会が減ってしまいます。


ちなみに、トレーディングビューにおけるパラボリックの設定の変え方は以下の図のとおり。
パラボリックを表示させてから「⚙」をクリックするとパラメータを変更できます。
パラボリックとの組み合わせ「MACD」
株式投資、とくに短期トレードをする際にはインジケーターを活用するのが一般的です。
インジケーターは、チャート上もしくはローソク足の下段に表示され、「トレンドの強さ」や「相場の過熱感」(買われすぎ・売られすぎ)を判断するのに役立ちます。
インジケーターにはトレンド(フォロー)系とオシレーター系の2種類があり、それぞれに特徴があります。
インジケーターの種類
★トレンド(フォロー)系
相場のトレンドの方向性を推測するのに利用
例:移動平均線、ボリンジャーバンド、パラボリック
★オシレーター系
相場の過熱感(買われすぎ、売られすぎ)を判断するのに利用。逆張り向き
例:RSI、RCI、ストキャスティクス

ここではパラボリックとの組み合わせとしてMACD(マックディー)を紹介。
※関連記事
MACDの設定値と使い方 MACDだけで勝てるか?
パラボリックとMACDを組み合わせた手法はGC・DCねらい
パラボリックとMACDを組み合わせた手法は、MACDのゴールデンクロス・デッドクロスが出現した売買ポイントをねらうことです。
パラボリックとMACD の売買手法
★買いポイント
パラボリックの「買」とMACDのゴールデンクロスが重なったポイント
★売りポイント
パラボリックの「売」とMACDのデッドクロスが重なったポイント
★組み合わせのメリット
「だまし」に遭うリスクを減らせる

パラボリックの情報だけでは「だまし」に遭ってしまう場面でも、MACDと組み合わせることで情報の精度をアップしたトレードができることでしょう。
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