追証を払えない場合どうなる?追証地獄の解消方法

追証 払えない

追証払えない場合、どうなるのかご存じですか?

追証が払えない
追証を払わない
追証を踏み倒して夜逃げする

このような状況や考えは株式投資をするうえでとても危険です。

しかし、信用取引は資金効率よく稼げる取引手段であることも事実。

大事なことは、きちんと制度を理解することとリスク管理です。

そこで、追証地獄に陥る人が増えないようにするためにも…

追証が払えない場合にどうなるのかを、詳しく解説していきたいと思います。

株の信用取引で追証を払えない場合どうなる?

(最終更新日:2022/8/1、元記事:2022/1/18)
株の信用取引、CFD(差金決済取引)、FXなど、レバレッジを掛けた取引には追証(追加証拠金)が発生するリスクを伴います。

次の株価チャートをごらんください。

追証 払えない ステムリム

※出典:トレーディングビュー

バイオベンチャー企業「ステムリム」(4599)のチャートです。

ステムリムは、再生誘導医薬品という全く新しいコンセプトの薬「レダセムチド」を開発している会社で、テンバガーが期待されております。

※ステムリムの詳細解説は下記記事から
↓↓↓
テンバガー候補2021【日本株】有力5銘柄に迫る!

チャートを見てわかるように、ステムリムのチャートは下降トレンドでした。

しかし、2021年12月13日の大引け後、突破するのが非常に難しいとされる「急性期脳梗塞」の治験2相に成功した旨のIRを発表。

翌日から株価は2日間寄らずのストップ高。3日目は、東証の4倍ルールにより、値幅が4倍まで拡大され、一時ストップ高まで買われました。

※値幅4倍ルールは下記記事で解説
↓↓↓
【解説】ストップ高と値幅の関係 ストップ高翌日の株価とは?

<ステムリムの株価>
12月13日の終値489円(大引け後、IR発表)
12月14日の終値569円
12月15日の終値669円
12月16日の終値1069円 ※値幅4倍

もし、12月13日以前にステムリム株を空売りしていたら、追証(追加証拠金)を証券会社から請求されていた可能性大です。

資金に余裕のあるひとならともかく、追証を払えない人であれば、いわゆる“追証地獄”に陥っていたかもしれません。

現在の株式市場は、コロナ禍、米中摩擦、ウクライナ問題、自然災害、インフレなど…

不安定要素が高くなり、リスクが高めの相場といえるでしょう。

そんななか、相場が自分の思惑と逆に動いてしまい、追証が払えない場合どうなるのか?

追証の仕組みからわかりやすく解説していきます。

追証が払えないと証券会社が追証を取り立てる

株の場合、追証は信用取引をしている人に生じるリスクです。

追証が発生するメカニズムは、信用取引をするのに必要な委託証拠金が不足してしまうためです。

信用買いでも空売りでも、思惑と逆に相場が大きく動いてしまった場合、証拠金不足に陥り、証券会社が追証を請求してきます。

そして…

SBI証券や楽天証券など、追証が払えない場合には、証券会社は追証を取り立ててきます。

証券会社が追証発生後に利用者に入金を求めても応じなければ請求が終わることはなく、メール・電話での督促が続きます。

それでも追証に応じない場合、証券会社によっては「遅延損害金」を請求されるケースがあります。

遅延損害金は追証とは別個の罰金となり、利用者が支払うお金は確実に増えるので要注意です。

追証を払えない状況が続くと、裁判所から一括請求が届く

追証が払えない、追証を払わない状況が続くと、どうなるのでしょうか?

なかには、借金を踏み倒して夜逃げすれば大丈夫と思う人もいるようです。

しかし、そんなに世の中は甘くありません。

証券会社は追証を払わない利用者に対して法的手続きを取ってきます。

具体的には、裁判所から追証分(+遅延損害金の場合も)の一括請求案内が自宅に郵送されてくることになります。

追証 払えない 裁判所

信用口座は取引停止のペナルティ

追証が生じた場合、証券会社が独自に定める期限までに追証が解消されないと強制決済(強制ロスカット)が行われます。

具体的には、証券会社独自のルールに則り、代用証券の売却もしくは全建玉の反対売買が強制的に実施されることになります。

※代用証券:信用取引の担保となる現物株などの有価証券のこと

代用証券の売却や反対売買をしても不足金が解消しない場合、別途現金で入金する必要が生じます。

この追証(不足金)が解消されないままだと、信用口座停止のペナルティを科せられる証券会社が多いので注意が必要です。

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ペナルティを受けてしまうのはとてもイタイですね。

証拠金(委託保証金)とは

追証が払えない場合どうなるかを理解するためには、信用取引と証拠金(委託保証金)を理解しておくことが重要です。

かんたんに両者の解説をしていきましょう。

「信用取引」とは、証券会社からお金や株を借りて行う取引です。

銀行が融資を受ける際に担保を取るように、証券会社も利用者から担保を取ります。

この担保が「委託保証金」(証拠金)です。

委託保証金を差し入れることで信用が担保され、証拠金額以上の取引を行えます。

具体的には

証券会社から借金して株を買う信用買い

証券会社から株を借りて売る信用売り空売り

といった取引ができるようになります。

信用取引の買いポジションを「買い建玉(かいたてぎょく)」、売りポジションを「売り建玉(うりたてぎょく)」と呼びます。

日本株では、一般的に自己資金の3.3倍の大きさの取引が可能となります。

100万円分の株を買いたいのであれば、約30万円の証拠金を差し出すことになります。

例外的に、個別銘柄が急に人気化して株価が連日急騰し信用買いが急増した場合、東証が過熱した相場を冷静にさせるために「増し担保規制」をかけます。

この場合は、証券会社に差し出す証拠金が50%に増額されます。

それでも過熱感が冷めない場合には、70%、90%の証拠金を要求されることがあります。

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追証とは

追証が払えない状態になってしまう原因の1つに、追証への理解不足が挙げられます。

信用取引や先物取引、FXに手を出す前に、追証についてもきちんと理解しておきましょう。

追証とは、追加保証金(追加証拠金)の略称で、信用取引をするために証券会社に差し出している担保が不足したときに請求される追加のお金を意味します。

信用取引で保有しているポジションが含み損を抱えている場合、含み損分の金額が委託保証金から差し引かれて委託保証金の価値が目減りすることになります。

信用取引の担保である委託保証金が、証券会社が不足した場合、追加で担保を入れることが求められます。

これを追加証拠金、通称「追証」と呼びます。

ちなみに追証の読み方は「おいしょう」です。

追証は証拠金維持率を割り込むと発生

追証(追加証拠金)は、証券会社が設定する証拠金維持率を割り込むと請求されます。

信用取引したものの、読みが外れて含み損が膨れてしまった場合、信用取引を続けるには追証を払う必要があります。

<例:楽天証券の追証>
楽天証券 追証 払えない

※出典:楽天証券

楽天証券の場合、信用取引を継続するには2つの条件を満たす必要があります。

最低30万円の保証金を担保に差し出す

信用取引の全建玉に対する証拠金維持率(20%)を割り込まない

どちらか1つの条件でも満たせなくなると、追証を請求されます。

追証が払えない状態とは、株の信用取引の場合だと証券会社が設定する証拠金維持率を担保の価値が割り込んでも、委託保証金を追加して入金できない状態を意味します。

追証が払えない状態が続くと、遅延損害金を設定している証券会社であれば遅延損害金の請求額が日に日に増えるので一日も早い対処が必要になります。

追証になる証拠金維持率の目安

追証になる証拠金維持率の目安はどれくらいなのか?

証券会社によって若干の差はありますが、代表的なネット証券では、20%に設定しているところが多いようです。

含み損が増えて証拠金維持率が20%を割り込むと、証券会社から追証を請求されるようになります。

<追証を請求される証拠金維持率の目安:20%>
SBI証券
楽天証券
マネックス証券
GMOクリック
松井証券
岡三証券

追証が発生した時にどうする?

株の信用取引や先物取引、FXなどで追証が発生したらどうすれば良いのでしょう?

大前提としては追証が払えなくい状態になる前にロスカットすることをおすすめします。

現物株のように塩漬け株にはできないことをしっかりと心に焼き付けておきましょう。

基本的な二つの選択肢を解説します。

追証を入れて自ら損切り(ロスカット)

追証が発生した時の選択肢として、まず考えられるのが追証を口座に入れてポジションを決済することでしょう。

追証を入れることで、信用買いでも空売りでもポジションを維持できるようになります。

ただ、追証が発生したということは自分が思っていたのとは逆方向に大きく株価が動いてしまったということ。

ということは、ポジションを決済しないとさらに損失が拡大するリスクがあるので、一度ロスカット(損切り)して、仕切り直しをした方が良いと思います。

証券会社から請求される追証金額が、致命傷にならない程度のものであれば追証を入れて自ら損切りすることが大きな選択肢になります。

ロスカット

追証の強制決済(強制ロスカット)

追証が払えない場合、持っているポジションが証券会社により強制決済されます。

強制ロスカットとも言います。

強制決済は言葉のイメージが強いためにネガティブに捉えられがちですが、悪いことばかりではありません。

というのも、投資家の中にはなんとか追証を支払ってポジションをキープすれば、株価が持ち直すという淡い期待を持ってしまう人がいるからです。

たとえば、

1、空売りをしていて株価が上がってしまい、追証を求められた。

2、追証を入れて、株価が下がっていくことに賭けたけれど、株価はさらに上昇。

3,その結果、再度追証を請求された。

という悪循環に陥り、損失額が膨らむリスクがあります。

しかし、強制決済されてしまえば、それ以上に損失が拡大することはありません。

含み損を抱えた状態の精神状態はとてもつらいものです。

冷静な判断ができなくなることもあります。

強制決済されることで、仕切り直しができることもあるのです。

追証の解消方法と払えない場合の解消方法

追証(追加保証金)を証券会社から請求された場合の解消方法、追証を払えない場合の解消方法をそれぞれご紹介します。

追証の解消方法

追証の解消方法は以下のとおり。

・自力で追証を入れる

・身内や金融機関からお金を借り入れる

それぞれかんたんに解説します。

自己資金から追証(追加証拠金)を口座に入金

もっともスタンダードな追証の解消方法が、自己資金から追加証拠金を入れることです。

証券会社から請求される額の追証を入れることで、すぐに取引再開ができます。

ただし、ポジションに反転の兆しがない場合には、すぐに手仕舞った方が良いと考えられます。

身内や金融機関からお金を借り入れる

自己資金だけで追証を払えないが、金額が大きくない程度であるなら身内や消費者金融を使って、追証をいれるのも1つの方法です。

ただし、後者を利用する場合には安くない金利を取られることにもなりますので、ご自身の家計と相談して無理のない利用をすることを心がける必要があります。

身内から借りる場合も、関係がぎくしゃくしないように返済は約束どおりに守ることが鉄則です。

追証を払えない場合の解消方法

追証を払えない場合の解消方法をまとめました。

・分割払いを証券会社に相談

・個人再生

・自己破産

追証を払えない場合の解消方法をそれぞれ深堀して解説していきます。

分割払いを証券会社に相談

追証を払えない状況の場合、一般的に請求される追証額が大きい人が多いと予想されます。

追証を入れるための手持ち資金が足りない、身内や金融機関から借りるのも難しい場合、証券会社に分割払いの相談をしてみる方法があります。

ただし、証券会社はあくまで「一括」での支払いを求めてくるのが原則です。

また、1人に分割払いを許してしまうと、多くの信用取引トレーダーも同じ手を使ってくることが予想されるため、分割払いの相談に応じる証券会社は圧倒的に少ないことを覚悟した方が良いでしょう。

この追証解消方法は、基本的にダメ元で行う手段です。

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なかなか厳しそうですね。

個人再生

自己資金、借金、分割払い…どの方法でも追証が払えない場合には「債務整理」をする手段を考慮しましょう。
します。

債務整理には「個人再生」と「自己破産」があります。

まずは「個人整理」について解説していきます。

個人再生は、借金(この場合、追証)を大幅減額する方法です。

民事再生法に則り、裁判所に返済不能を申し立てることで追証額を減額してもらうことになります。

個人再生では、住宅ローンを除く借金を大幅減額したうえで、原則3年の返済計画を立てます。

条件にもよりますが、債務は最大5分の1まで減少可能で、追証の負担が大幅に減ることで、追証解消に向けて行動がとりやすくなります。

ただし、自己破産とは違い、借金がチャラになることはありません。

借金の額が100万円未満の場合も、借金が減額されることは基本的にありません。

参考までに、「最低弁済基準額」の表をご紹介します。

最低弁済基準額

※参考:法律相談ナビ「個人再生のメリット・デメリットって何?特徴と利用条件、手続きの流れを徹底解説」

自己破産

自己破産は、裁判所から支払い不可と認めてもらい借金を全額免除してもらう制度です。

ごく一部の財産を除く、全財産を債務の返済に充て、残債に対して裁判所が免除を認めてくれれば、借金の残りが免除されます。

自己破産することで、追証が払えない時にくる証券会社からの督促もなくなります。

その理由は、債権者である証券会社に「受任通知」が郵送され、債務についての問い合わせなどが弁護士や司法書士にいくことになるためです。

ただし、自己破産するとブラックリストに載り、クレジットカードの利用や新規発行が制限されたり、郵便物を破産管財人にチェックされるなどの制約を受けることになります。

追証を払えない人のブログも参考に

追証を払えない状況にいざ陥ってしまうと焦ると思います。

そんな時に役立つのが経験者のブログです。

追証を払えない経験をした人のブログには、体験したからこそわかる有意義な情報もあります。

先ほど、分割払いを証券会社に相談しても現実的には対応してもらえない確率が高い旨を紹介しましたが、SBI証券から追証の分割払いを勝ち取った人のブログがとても参考になったので、ご紹介しましょう。

「沖縄で子育てブログ」
追証 払えない ブログ

このブログの著者は、SBI証券の利用者で、SBIから電話で追証の請求をされ、一括では払えない、分割なら払えると交渉した結果、分割での追証の入金がOKになったそうです。

このブログから学べることは

・どの金融商品で追証になったのか
・どんな経緯で追証になったのか
・追証発生時のメンタル
・証券会社から連絡がきたときのやり取りの仕方
・追証にならないためのリスク管理

などがあります。

人の振り見て我が振り直せと言いますが、反面教師としても役立ちます。

個人投資家のブログなので、読む人と同じ目線に立った情報でもあり、個人的にはとてもおすすめの記事だなと思いました。

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追証が払えないと本当に不安になります。経験者の体験は貴重な情報源ですよね。

そのとおりですね。

経験者の情報は大事にしたいところです。

追証を払えない状況を回避しながらレバレッジ取引する方法

追証とは株の場合、信用取引する人に発生する現象です。

では、信用取引をする人はなぜするのか?

その理由は大きくわけて二つあります。

信用取引する理由
「買い」と「売り」のどちらでも利益を上げたい
レバレッジを効かせて資金効率よく稼ぎたい

でも信用取引は、相場を読み違えたり、資金管理をしくじると大損するリスクがあります。

その結果、追証が払えない状況に陥ることがあります。

実はこれ、回避する方法があります。

個別銘柄では難しいのですが、レバレッジETFであれば、レバレッジを効かせながら上げ相場でも下げ相場でも両方で利益を上げられます。

日経平均やTOPIXに連動したETFを売買するだけです。

日経インバース、日経ダブルインバースを買えば、日経平均が下がれば利益になります。

信用取引をする必要がないので、追証が発生することはありません。

信用取引がこわい人は検討してみたらいかがでしょうか。

※日経ダブルインバースの買い方は下記記事で解説しています。
↓↓↓
日経ダブルインバースの使い方と買い時(買い方)

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