任天堂、年末商戦に暗雲…株価の見通しを予想

任天堂の株価

年末商戦で任天堂は巻き返しを狙うも、株価は年初来安値を更新

任天堂は年末商戦に合わせて「ニンテンドースイッチ」の人気ソフトの投入と、「ニンテンドー ラボ」に期待を寄せているとコメントを発表しています。

しかし、「ニンテンドースイッチ」の販売は伸び悩み、「ニンテンドーラボ」はイマイチと言わざるを得ないセールス状況で、見通しが良いとは言えません。

その先行き不安からか、任天堂の株価は10月31日に年初来安値を更新し、33,610円まで値下がりました。
 
任天堂(7974)の株価推移

任天堂の株価チャート

年末商戦期間の売上が年間売上高の約6割という任天堂にとって「巻き返す」と意気込むのは当然ですが、株価上昇の起爆剤はあるのでしょうか。

 

任天堂 年末商戦も株価も「スイッチ」が鍵

株価を左右する「スイッチ」本体の売上

発売後に爆発的な人気を博し、昨年末の株価上昇の要因となった「ニンテンドースイッチ」ですが、今年4~9月の売上は507万台と前年比4%増にとどまっています。

今期の「スイッチ」の販売目標を2,000万台に設定していますが、「今のペースでは目標に届かない」と、任天堂は危機感を募らせています。

1,700万台まで目標を下方修正しているとの声もありますが、売上高の実に7割超が「スイッチ関連が占めている」任天堂にとって、「スイッチ」の売り上げの鈍化は大きなダメージとなります。

「スイッチ」の販売数は、売上高のおよそ半分を占める巨大市場のアメリカでも衰えています。

そこで任天堂は、スイッチ本体の売上を下支えするための措置をアメリカで講じました。
それが今年の夏以降の、本体とソフトのセット販売と期間限定のソフト半額販売です。

こうした力の注ぎ方から、任天堂がいかに「スイッチ」の販売を重要視しているかがわかります。

年末商戦の起爆剤になるか「ニンテンドーラボ」

今年4月に発売を開始した「ニンテンドーラボ」は、第3弾のソフトを9月にリリースしました。

年末商戦を意識した販売時期でしたが、結果は期待外れでした。

発売週こそ国内で1万4千本売り上げたものの、翌月の10月半ばには週3千本程度まで売上が鈍化したのです。

ゲーム情報誌で「ゲームとしてやり込める要素が少ない」と辛口のコメントがつくなど、国内での「ニンテンドーラボ」の評価はあまり芳しくありません。

日本国内での評価はいまいちですが、「ニンテンドーラボ」は全く期待出来ない商品とも言えないと個人的には思っています。

というのも、アメリカの100もの小学校で、授業に「ニンテンドーラボ」が導入されることが10月末に発表されています。

ただのゲームではなく、楽しい学習を支援するものとして子供の両親に受け入れられれば、一気に売上が伸びるでしょう。

アメリカでまず導入するという点も利点です。
日本の教育現場でやろうとしたら、単純に「ゲームなんて!!」と言う人が多くて導入すら実現されそうにないですから…。

ただ、将来を見据えてすそ野を広げるという点で「ニンテンドーラボ」は期待が持てるのであって、今年の年末商戦の起爆剤になるかというと…厳しいというのが本音です。

 

任天堂と対照的にソニーの株価が好調。年末商戦の行方は?

任天堂の株価の見通しを立てるのに無視できないのが、ライバルのソニーです。
 
任天堂とソニーの株価比較

今年の6月頃の株価に注目してください。
ソニーが任天堂を逆転し圧倒しています。

ソニーは10月30日に19年3月期の営業利益計画を上方修正し、2期連続で過去最高を更新する見通しです。

「ニンテンドースイッチ」のライバル「PS4」と、有料会員サービス「PSプラス」がソニーの営業利益をけん引しています。

アナリストの分析では「PS4の売れ行きは初期の印象よりもだいぶ強い」そうで、「販売計画の達成に疑問の声が上がるニンテンドースイッチ」とは対照的です。

上のグラフを見るとわかりやすいですが、「スイッチ」の発売当初とクリスマスを除けば、17年から18年にかけソニーの「PS4」は任天堂の「スイッチ」に勝ち越しています。

ゲームビジネスの成否は年末商戦にかかっていることを踏まえ、ソニーは人気シリーズのソフトを先月新たに投入していますし、「下期にかけても強力なソフトの販売が控えている」と強気のコメントを発表しています。

年末商戦で任天堂が形勢をくつがえすのは少々厳しそうです。

 

年末商戦、その後の任天堂の見通し

12月7日には、人気シリーズ「大乱闘スマッシュブラザーズ」の新作ソフトの発売を控えるなど、任天堂はギリギリまで年末商戦を成功に導こうとしています。

年末商戦は大事なのですが、投資家としては年末商戦後のことを見通しておきたいところです。

そこで気になるのが、任天堂は「スイッチ」ブームが去った後に次のヒット商品を生むことを期待できるのか?

なぜ年末商戦前の今、その後のことまで気にするのかというと、任天堂は連続的にヒット商品が生めないという問題を抱えているからです。
 
特に顕著だったのが、「Wii」の時です。
Wii人気が一巡したあとにヒット商品を生むことができず、任天堂の業績は悪化しました。
任天堂の株価推移

株価は数年間に渡って低迷しました。

その後、「ニンテンドースイッチ」がヒットし、業績もV字回復しましたが、今のままでは「Wii」の時の二の舞になりかねないと危惧しています。

「スイッチ」関連のプロダクトやソフトの開発に力を入れるだけでは業績も株価も上向く期待は持てません。

今年6月末、「ニンテンドースイッチ」のヒットを実現させた君島社長が退き、新任の古川俊太郎社長が任天堂の舵取りをしています。

ただ、「スイッチ」を超える革新的な新製品の開発やゲーム機以外の事業の確立などを推進する動きは見られていないのです。

「ニンテンドースイッチ」の人気に陰りが見え、次のヒット商品についても全く検討がつかないので、今、任天堂株を購入するのは控えた方がよさそうです。