見せ玉(見せ板)の見分け方を今回は解説していきます。
株式投資をする際、板情報の気配値を見て買い注文や売り注文を出すと思います。
見せ玉は株取引をするうえでやっかいな存在です。
何の知識もなく、見せ玉(見せ板)に引っかかって買い注文を出してしまうと、思わぬ大損につながるかもしれません。
そうならないためにも、見せ板の見分け方の最低限の知識を持っていた方が、あなたの大切な資産を減らさないためにも大切だと思います。
この記事では、「見せ玉 (見せ板)とは」という基本的なところから、なぜ見せ板が行われるのかといった目的、引っかからないための見分け方までをわかりやすく解説していきます。
目次
見せ玉とは(見せ板とは)
(最終更新日:2022/7/27、元記事:2019/6/12)


見せ玉は違法行為であり、2019年にはシティ証券が見せ玉を理由に金融庁から行政処分を受けました。
※出典:金融庁
シティの場合は個別株ではなく、デリバティブ取引における見せ玉でしたが、機関投資家が個別株において見せ玉をしてくることは珍しくないと言われています。
見せ玉の手口


【見せ玉の例】
投資タロウが、ABC自動車の株式を91円~95円で合計30,000株買った後、約定意思のない大量の買い注文を複数回に分けて発注。
さらに、30,000株の保有しているABC自動車株を売り抜けた後、発注していた買い注文をすべて取り消した。
投資タロウが行った大量の買い注文は、他の投資家に「ABC自動車株は大量の買い注文があるので、株価が下がりにくい状態だ」との誤解を誘発させ、株価下落を防ぎながら自己株式を高く売り抜けることを目的に行われた「見せ玉」と考えられます。



経験を積んだ投資家なら、買い板を見れば「あ、これは「見せ玉(見せ板)」だなと見分けられるようになりますが、経験の浅い人はわからない場合が多いと思います。
この不正取引の手法が「見せ板」や「見せ玉」と呼ばれるのは、わざと釣り上げた玉(注文)、買い板を見せるところから名付けられました。
投資を行う際には、注意が必要です。
見せ玉(見せ板)は機関投資家がしかけてくる
見せ板を仕掛けるには、相当額の資金が必要になります。
そのため、一般的には見せ板を仕掛けてくるのは機関投資家だと考えられています。
ただ、中には豊富な資金のある個人投資家や個人投資家が集まったグループなどが仕掛けてくる可能性もあります。
平成21年には有名大学の投資サークルのメンバーたちが見せ玉を繰り返し、逮捕されるという事件が発覚しました。
彼らは見せ玉を繰り返して運用資金を増やし、手口を巧妙化して相場操縦を繰り返していたとみられます。
※参照記事:産経新聞「1時間で利益100万円、禁断の錬金術「見せ玉」…早大OBが巧妙化させた木の葉を隠すなら森の中」
見せ板の目的は価格をつり上げて売り抜けること
見せ板の目的はズバリ、価格をつり上げて売り抜けることにあります。
詳しく解説していきましょう。
前提条件として、機関投資家の資金量は個人とは比較にならないほど潤沢であり、株を買うとなると億単位の取引となるのが一般的です。
それを踏まえたうえで解説します。
つぎのステップをごらんください。
機関投資家が見せ玉を行う代表的な目的と手口です。
この目的を達成するために見せ玉をしてくる傾向があります。
個人投資家としては、この策略に乗らずに損失回避をすることが資産を減らさないコツとなります。
そのためには、見せ板を見分ける力を養うことが必要です。
見せ玉(見せ板)の見分け方
見せ板が出ている銘柄に、知らずに投資すると損につながるリスクがあります。
では、それを回避する方法はあるのでしょうか?
ここではかんたんな見せ板の見分け方を「板」をもちいてご紹介します。
ポイントは2つ。
・現在の約定価格(株価)より下に、突然大量の買い注文が表示される


個人投資家などが買い注文を入れることで、株価は303円まで上昇し、見せ板を出していた人は見事に利益確定できるわけです。
そして、すかさず大量の買い注文を取り消すわけです。


見せ板の警告は個人投資家にもくるので要注意
見せ板は違法行為になる可能性が高く、とてもリスクの高い行為です。
ですので、この記事を読んでいるあなたはいくら資金が豊富にあるからといって、絶対に見せ玉操作をしないようにお願いします。
個人投資家が見せ玉と思われる注文を出すと、証券会社から警告文が出されることがあります。
“見せ玉に該当する恐れがあります”
といった内容の警告文です。
大量の指値注文の価格をひんぱんに動かしたりしていると、見せ玉と疑われて警告文が出る可能性が高まるようです。
本当にその銘柄を買うつもりなら問題ないとは思いますが、買うつもりもなく注文を入れると疑われるのでご注意ください。
なお、SBI証券のHPを参照すると警告文が出ても、取引できないというわけではないそうです。
それでも、もし見せ玉と判定されてしまうと、後々厳しい罰を受けることになりますので注意は必要です。
※出典:SBI証券