高配当株投資におすすめの買い方とポートフォリオ

高配当株

高配当株(高配当銘柄)をねらう高配当株投資は今がチャンスかもしれません。

一般的に配当利回り3%もあれば高配当株と呼ばれることの多い日本株。

2022年3月8日終値ベースで、約3900社ある上場銘柄のうち配当利回り3%以上の企業は993社もあります。

4社に1社が高配当利回りになるわけです。

高配当株 分布図
※2022年3月8日終値
※おとなの株ラウンジ調べ

上のグラフを見ると、

配当利回り4%以上:391社
配当利回り5%以上:118社
配当利回り6%以上:41社

となっています。

下記の個人向けの金融商品の利回りと比べ、とてもリターンが高いのがわかります。

高配当株投資がチャンスかもしれないとお分かりいただけるかと思います。

【個人向け国債】
固定3年/0.05%(税引前) 0.0398425%(税引後)
固定5年/0.05%(税引前) 0.0398425%(税引後)
変動10年/0.12%(税引前) 0.0956220%(税引後)

【ソフトバンクグループの劣後社債】
固定7年/2.48%(税引前) 1.976%(税引後)

【メガバンク(みずほ・三菱UFJ・三井住友)普通預金】
0.001%(税引前)

【ネットバンク(証券会社口座と連携)】
楽天銀行(マネーブリッジ) 0.10%(税引前)
住信SBIネット銀行(SBIハイブリッド預金)  0.01%(税引前)

高配当株でFIRE、配当生活を目指す人が増えている

2019年にいわゆる「老後2000万円問題」が話題になって以降、FIREを目指す若者が増えています。

FIREとはFinancial Independence, Retire Earlyの略で、和訳すると「経済的自立と早期リタイア」を意味します。

このFIREを実現する手段として、米国株やレバナスのようなレバレッジETFとともに高配当株が注目を浴びています。

一般的に給与水準の低い若年層がFIREを実現するには、レバレッジをかけて資産運用していくことが必須と考える人が多いのでしょう。

この場合、だれでもできる選択肢として思いつくのは2つ。

・元々レバレッジの効いている金融商品に投資する
・配当を再投資して複利を働かせた投資をする

レバナスやTECLといった商品は前者。

高配当株投資は後者となります。

レバレッジ商品の場合、右肩あがりで価格が上昇している時は好パフォーマンスなのですが、下降トレンドやボックス相場になると価値の目減りがあるため長期投資には向きません。

となると、レバレッジETFよりは高配当銘柄への長期積立投資を行うのがFIREへの道としてはベターという結論がでます。

高配当株投資でFIRE

高配当株がおすすめの理由

高配当株投資がおすすめの理由をご紹介しましょう。

<高配当株がおすすめの理由>
理由1:預金金利や公社債よりも高いインカムゲイン(高配当)が狙える

理由2:優良企業が多いので倒産リスクが少ない

理由3:再投資によって、複利効果で資産を増やしやすい

【理由1】
すでにお伝えしたとおり、高配当株(配当利回り3%以上)への投資は、メガバンクへの預金や国債社債、ネットバンク預金よりも高いインカムゲインがねらえます。

配当利回りが3%だとすると、メガバンクの普通預金金利よりも3000倍も高い利回りになります。

また、国債や社債には増配がありませんが、高配当銘柄の場合には増配によりさらに利回りアップになる可能性があります。

【理由2】
配当は基本的に企業の利益の中から出すことになります。

つまり、高配当を出すということはそれだけ業績好調・財務優良である場合が多いことになります。(例外もあります)

ということは、コロナショックのようなイレギュラーな危機に見舞われて業績が赤字になっても、すぐには倒産するリスクが小さいものと考えられます。

【理由3】
再投資の複利効果を「アートネイチャー」(7823)を例にお話しましょう。

<アートネイチャー株>
・株価は長期にわたり700円前後で推移
・配当28円
・配当利回り4%
・自己資本比率57.1%

下のチャートは、アートネイチャーの週足です。

長年株価は700円前後を推移しています。

年間配当も28円の状態が続いております。

高配当株 アートネイチャー

※出典:トレーディングビュー

これらの情報をもとに、軍資金100万円の人が配当利回り4%の高配当株であるアートネイチャー株を複利運用したというシミュレーションの結果が下表です。

高配当株投資 シミュレーション

<シミュレーションの内容>
・株価が700円なので、最初に1400株(98万円)分の株を買う。
・税引き後の配当が7万円になったら再投資。
・この再投資を10年間繰り返す。
・10年後も株価700円と仮定

<シミュレーション結果>
保有株数1400株⇒1900株
税引き前配当収入19,600円⇒53,200円
保有株の資産価値980,000円⇒1,330,000円

高配当株投資を10年間続けるだけでこれだけの投資効果があることがわかります。

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もちろん、株価が10年後に上昇していれば資産はさらに増加します。増配も然り。

このシミュレーションでは、給与所得などからの追加投資を考慮していないということです。

通常、高配当株の積立投資をしていく際には「配当+給与からの資金」のダブルエンジンで投資していくことが多いです。

仮に毎年給与所得から同社株を1000株買い増していけば10年で1万株。

年間配当28円×1万株だけでも28万円になりますが、実際には複利効果でさらに所有株数も配当収入も増加します。

こんな人には高配当銘柄をおすすめしない

高配当株投資は資産形成におすすめの投資手法の1つです。

しかし、高配当株をおすすめしない…というかできない人たちもいます。

それはこんな人たちです。

高配当株 不向きな人

【短期目線の人】
高配当株投資は長期資産運用に向いた投資方法です。

高配当を再投資することで複利をいかし、長期運用によって資産を増やしていきやすいからです。

短期投資に高配当銘柄を利用することもできますが、個人投資家が老後資金2000万円問題やFIREを目指して運用する場合には、短期だと複利効果をいかせないためにおすすめしません。

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短期だと複利効果をいかせないので高配当株投資はおすすめしないのですね。

【株価下落に耐えられない人】
高配当株投資で心しておきたいことの1つに、高配当でもさらに株価が下落するリスクがあることです。

特に以下の3つの要因では以下に高配当銘柄といえど、株価が大きく下がる可能性があります。

・業績悪化
・減配
・外的要因

特に決算発表前に株を買うと、決算内容によっては大きく株価が下落してしまいます。

その結果、株価下落に耐え切れず、損切りしてしまった人の話をよく聞くので株価下落に耐性のない人にはおすすめできません。

【企業分析(銘柄分析)をまったくしない人】
銘柄分析をしておかないと、高配当株では痛い思いをすることがあります。

高配当株として知られる日本株の筆頭格はJT(日本たばこ産業)だと思います。

以下のチャートを見てください。

ロシアのウクライナ侵攻以降、株価の下落に拍車がかかっています。

高配当株 JT

※出典:トレーディングビュー

ウクライナに侵攻する前(2/18)の水準でも利回り6.4%の高配当銘柄。

実はJT、2/14に株主優待廃止を発表していました。

売り材料なのですが、それにも耐えて株価は高い水準をキープしていました。

しかし、戦争が始まる直前から株価が急落し、2週間近く強烈な下げを記録しています。

その理由は、JTがロシアに4つの工場、ウクライナに1つの工場を保有し、利益の2割をロシア事業で稼いでいるためです。

※参照記事:東洋経済「JT、「利益の2割」を稼ぐロシア混迷の深刻影響」

JTの企業分析をしていれば、ウクライナやロシア市場がJTにとってどれだけ大きなウェイトを占めているかがわかったはずです。

こうした企業分析を怠ると、思わぬ損失を被るリスクが高まってしまいます。

高配当株投資のメリット

高配当株のメリットを解説しましょう。

3つのメリットを以下にまとめました。

高配当銘柄 メリット

【インカムゲイン】
高配当株に投資する人の多くは、インカムゲイン目当てだと思います。

完全な不労所得ですので、すでに多額の運用資金を持っている人であれば、高配当銘柄を持つだけで配当生活を享受できます。

まだ大きな資産を持っていない人にとっては、高配当を再投資に回すことでFIRE実現への燃料にすることもできます。

なるべくリスクを排除し、じっくりゆっくり資産を構築していきたい人にとっても、高配当株から得られるインカムゲインはとても魅力的です。

デイトレーダーのように毎日パソコンやスマホにかじりつく必要もありません。

十分なインカムゲインを得ることで、自由な時間を確保することにもつながるのがメリットといえるでしょう。

【株価を気にしなくてよい】

高配当株投資は、配当を得ることがメイン戦略なのでデイトレーダーのように株価を常に気にする必要はありません。

アートネイチャーの例を見てもわかるように、株価が横ばいで推移する銘柄も多く、ずっと高配当銘柄のままでいる銘柄も多々あります。

代表的なところだと、銀行株などが高配当銘柄の代表セクターでしょうか。

スクリーニングするとわかりますが、配当利回り3%以上の銘柄が銀行株にはごろごろあります。

高配当銘柄 銀行株

※出典:株探

※関連記事
超割安銀行株に将来性はある?PBR0.1倍、高配当でも株価上がらず

【複利効果】
高配当株を長期投資で運用する最大のメリットは複利効果による資産の増大でしょう。

会社員であれば「配当+給与から積立」のダブルエンジンで高配当銘柄に積立投資をしていくことで、時間はかかりますが資産価値と配当収入増を期待できます。

高配当株投資のデメリット

高配当株のデメリットを解説しましょう。

3つのデメリットを以下にまとめました。

高配当銘柄 デメリット

【減配リスク】
高配当株投資の大きなリスクとして知られるのが、「減配」「無配」リスクです。

「減配」とは配当が減らされること
「無配」とは配当が無くなること

を意味します。

配当は企業の業績によって決められるため、業績悪化を理由にして高配当が維持できなくなるリスクがあります。

高配当株投資をする人のほとんどは、利回りの高い配当目当てで投資しているので、減配などになれば魅力が薄まり、失望売りが膨らんで株価が大きく下落することもあります。

【株価が上がりにくい】

高配当株には株価が上がりにくいというジンクスがあります。

もちろんすべての銘柄に当てはまるわけではありません。

しかし、たとえばJTは10年前も高配当銘柄でしたし、今も高配当銘柄のまま。

この記事で紹介したアートネイチャーの株価も長年700円前後をレンジで動いています。

株の値上がりを期待して投資する人にとっては、これはデメリットといえるでしょう。

【複利効果が発揮されるまで時間がかかる】
高配当株投資は長期目線での資産運用が基本戦略になります。

その理由は、「高配当の再投資+労働所得」のダブルエンジンで投資を継続し複利効果を得ていくためです。

しかしながら、十分な複利効果を得るためには長い時間が必要となります。

ですので、高配当銘柄で配当生活をおくりたい人などは、なるべく早い時期から高配当株投資に取り組むことが大切になります。

高配当株のおすすめの買い方

高配当株のおすすめの買い方をご紹介します。

高配当銘柄への投資が有望だとわかっても、どんな銘柄をいつ買えばよいのかわからないと望むような運用パフォーマンスを得られないですよね。

クロサキ流の高配当株の見つけ方、スクリーニング手法などをご紹介していきます。

高配当株のスクリーニング条件

高配当株のスクリーニング条件について解説していきます。

高配当株は配当利回り3%以上の銘柄だとご紹介しました。

しかし、それだけの条件でしたら、22年3月現在の状況で約1000社の銘柄がHITしてしまいます。

つまり、もっと良い条件で絞り込む必要があります。

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1000社もあるとどの銘柄に投資したらよいのか迷ってしまいますね。
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そうですね。ですので、クロサキ流の高配当株スクリーニング手法をご紹介します。

クロサキ流の高配当株のスクリーニングのやり方は以下のとおり。

<クロサキ流 高配当株のスクリーニング方法>

スクリーニング条件

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ポイントはどこにあるのでしょうか?
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安定的に高配当を出し続けられる銘柄をスクリーニングすることです。

「時価総額1兆円以上の大型株+自己資本比率40%以上」

この条件を追加しているのは、安定的に高配当を出せる可能性が高い条件だからです。

SBI証券のアプリを使い、このスクリーニング条件で高配当株を検索したところ17銘柄ヒットしました。※スクリーニング日:22/3/16

<スクリーニングされた高配当銘柄>
1605 INPEX
1928 積水ハウス
2914 日本たばこ産業(JT)
3407 旭化成
4452 花王
4502 武田薬品工業
5108 ブリヂストン
5201 AGC
5713 住友金属鉱山
5802 住友電気工業
6301 コマツ
7202 いすゞ自動車
7267 ホンダ
7270 SUBARU
7751 キヤノン
7974 任天堂
9433 KDDI

このようにリストアップされた銘柄のなかから投資先を検討することになります。

高配当株の買い時は「暴落時」と「権利落ち日」

高配当株の買い時はいつか?

基本的にはいつ買っても問題ないのですが、あえて言うなら「暴落時」と「権利落ち日」です。

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なぜ暴落時と権利落ち日なのでしょうか?
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解説していきます。

下記のチャートは高配当銘柄として知られる通信会社ソフトバンクの週足です。

ソフトバンク週足

※出典:トレーディングビュー

権利落ち日にソフトバンクの株価は大きく落ちました。

日足チャートの窓をあけて下落した日が権利落ち日です。

翌日も株価は落ちていますが、その後は反発しています。

窓を開けて株価が暴落した時、配当の権利落ち日翌日は高配当株の買い時であることがわかるチャートとなっています。

高配当株銘柄のポートフォリオ戦略を公開

高配当株投資で長期資産運用をしていくためには、ポートフォリオを組むことが重要になります。

スクリーニングの結果、リストアップされた17銘柄を例にポートフォリオ戦略を解説していきましょう。

<スクリーニングの結果、リストアップされた17銘柄>

高配当銘柄 スクリーニング結果

この17銘柄でポートフォリオを組むとしたらどんなポートフォリオにしたらよいのか?

その考え方の一例をご紹介します。

こうじゃなきゃダメだということではありませんので悪しからず。

高配当株投資のポートフォリオを考えるうえの基本戦略はバラバラの業種の銘柄でポートフォリオをつくることです。

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なぜバラバラの業種の銘柄でポートフォリオを組むのですか?
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それは異なる値動きをすることが多いからです。
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なるほど。みんな同じような値動きだと株価が下落している時はどの銘柄も下がってしまいますよね。それを防ぐためですね。

その一例として、以下のようなポートフォリオをご紹介します。

高配当株 ポートフォリオ

だれもが知るような大企業でポートフォリオが占められています。

花王や武田薬品、KDDIなどディフェンシブ銘柄が多めになっているのが特徴です。

花王は連続増配企業として知られています。22年2月には33期連続増配を発表しました。
今後も毎期増配が続けば、配当利回りはさらに増していくことになります。

この10銘柄のチャート比較もご紹介します。

チャート比較

※出典:トレーディングビュー

値動きが異なるのがチャートをみるとわかります。

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