この記事では「逆三尊」のエントリーポイント、利確ポイントを中心にトレードで利益につなげるための「逆三尊の攻略法」をわかりやすく図解していきます。
「三尊」「逆三尊」…株やFX、仮想通貨(暗号資産)など、トレードや投資をしている人なら一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
三尊も逆三尊も、日本発祥のチャートパターン分析手法「酒田五法」のパターンの1つです。
酒田五法とは
酒田五法とは、3本以上のローソク足でチャートパターンを分析する方法。
江戸時代に活躍した本間宗久が考案したと考えられていますが、日本テクニカルアナリスト協会の調査では、それを裏付ける資料は見つかっていません。
酒田五法は「三山」「三川」「三空」「三兵」「三法」の5つの基本形から成ります。
三尊と逆三尊は「三山(さんざん)」の一種に分類されます。
三山とは「上げ」「下げ」を3回くり返して3つの天井(山)をつくり、相場の大天井となるチャートパターンです。
酒田五法と本間宗久については「首吊り線」の記事で詳しく解説しています。
↓↓↓
株で首吊り線が安値圏・高値圏に出た時の投資のやり方
「三尊」と「逆三尊」は、強烈な買いサインと売りサインのチャートパターンのとして有名です。
今回は、チャートの買いサインである「逆三尊」について、「逆三尊とは」という基本から「否定(だまし)」といったトレードで利益につなげるのに大事なポイントを押さえて解説していきます。
目次
逆三尊とは(逆ヘッドアンドショルダー)
逆三尊の読み方は「ぎゃくさんぞん」です。
英語圏など海外では「逆ヘッドアンドショルダー」「H&Sボトム」(逆三尊底)と呼ばれています。
売りサインとなるチャートパターン「三尊」の逆パターンなので「逆三尊」と呼ばれています。
逆三尊とは、買いのシグナルの代表的なチャートパターンです。
逆三尊をきちんと理解していれば、空売りはこわくてやりたくないという人でも、エントリーポイントと利確ポイントを見つけて現物買い&利確で資産を増やしていけることでしょう。
ただ、本格的に逆三尊の話を進める前に、多くの人が混同しがちな以下の区別について図説していきましょう。
・トリプルトップ(トリプルボトム)
・ヘッドアンドショルダーズトップ(ヘッドアンドショルダーズボトム)
・三尊(天井)と逆三尊(底)
言葉だけだとわかりづらいので、「三尊(ヘッドアンドショルダー)」と「逆三尊(逆ヘッドアンドショルダー)」のチャートを使いながら図解していきましょう。
※関連記事
ダブルトップとダブルボトムのだまし回避で勝率を上げる方法
トリプルトップ、H&S、三尊の区別
トリプルトップ、H&S(ヘッドアンドショルダーズ)、三尊の区別がついていますか?
クロサキは日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリストという資格を保有しています。
この資格は日本テクニカルアナリスト協会が認定する資格で、取得するには試験に合格する必要があります。
その試験用のテキストである「第1次通信教育講座テキスト第1分冊」(日本テクニカルアナリスト協会発行)をひもとくと、
・三尊はH&Sトップの一形態、逆三尊はH&Sボトムの一形態
・H&Sトップはトリプルトップの一種、H&Sボトムはトリプルボトムの一種
との説明がされています。
この関係を図解したのが下の図です。
三尊はH&Sの一種、H&Sはトリプルトップの一種ということです。
では、トリプルトップとヘッドアンドショルダーズ(トップ)の違いはどこにあるのか?
それは真ん中の山の高さです。
<トリプルトップ>
<H&S(トップ)>
トリプルトップは、3つの山の高さはほぼ同じ。
ヘッドアンドショルダーズは真ん中が一番高くて、両サイドは同程度の高さ。
意外と簡単な区別ですよね?
では…
この前提知識を踏まえた上で、三尊と逆三尊について解説していきましょう。
三尊と逆三尊【図解】
逆三尊を解説するためにも、元となる三尊についてもかんたんに解説していきます。
まずは三尊と逆三尊の基本的なチャートパターンをごらんください。
<三尊>
<逆三尊>
・三尊は真ん中が最も高い3つの山
・逆三尊は真ん中が最も低い3つの谷
を確認できます。
株でもFXでもそうですが、
三尊が天井圏で出たときは、売りシグナル
逆三尊が底値圏で出た時は、買いシグナル
と理解されています。
三尊は英語でヘッドアンドショルダーズ(H&S)と呼ばれます。
ヘッドアンドショルダーズには、トップ(天井)とボトム(底)の2パターンがあります。
ヘッドアンドショルダーズトップ (H&Sトップ)…売りサイン
ヘッドアンドショルダーズボトム (H&Sボトム)…買いサイン
ただ、上のチャートはあくまで基本形です。
逆三尊のチャートパターンで利益を上げていくためには、
・エントリーポイント
・利確ポイント
・逆三尊の否定(だまし)
・逆三尊の探し方
などを理解する必要があります。
これからじっくりとこれらについて解説していきます。
三尊天井の株でのエントリーポイント、だましの見極め方

酒田五法の代表的な売りサイン「三尊天井」をわかりやすく解説。だましやエントリー、利確、ロスカットなど、初心者がつまづきやすいところを解説しています。
逆三尊のエントリーポイントと利確ポイント
逆三尊のエントリーポイントと利確ポイントを解説していきましょう。
逆三尊を狙ってエントリーしたはいいけど、どこまで上がるのかわからない…
これでは利益につなげるのはむずかしいでしょう。
どこまで上がるのかのめど(利確ポイント)の考え方も図説しています。
下のオリエンタルランド(4661)のチャートは逆三尊の全てを図解したものです。
このチャートでわかることは以下のとおり。
・逆三尊のエントリーポイント
・逆三尊の利確ポイント
<逆三尊のチャート>
※出典:トレーディングビュー
この逆三尊のチャートの解説をしていきましょう。
【解説1】ネックラインの引き方
ネックラインは2つの山を結ぶ形で引きます。ネックラインはエントリーポイントの見極め、エントリー後の利確ポイントを探るために引きます。
【解説2】逆三尊のエントリーポイント
逆三尊のエントリーポイントは、株価がネックラインを継続的に超えたところです。
【解説3】逆三尊の利確ポイント
逆三尊の利確ポイントは2か所。
利確ポイント1:ネックラインから逆三尊のパターン形成前の下げ幅だけ上がった箇所
利確ポイント2:ネックラインから、安値からネックラインまでの上げ幅だけ上がった箇所
チャートを見るとわかりますが、利確ポイントできちんと売っていれば、その後の株価下落に巻き込まれることもありません。
長期保有目的で株を買う人は別ですが、短期トレードで利益を狙うのであれば、エントリーする時に利確ポイントは定めておいた方が良いでしょう。
上のチャートは情報量が多いので、少し分解して解説していきます。
まずは逆三尊の要「ネックライン」を解説していきましょう。
逆三尊はネックラインのブレイクが買いサイン
逆三尊のにおけるネックラインとは、2つの山を結んで右に延長したラインのことです。
※出典:トレーディングビュー
逆三尊はヘッドアンドショルダーズボトムの一種だと解説しました。
H&Sボトムの定義では、ネックラインを終値で3%以上かつ2日以上、株価が上回ればパターン形成となります。
ただ、実際には厳密に3%などの逆三尊形成条件を満たしていなくても、パターンが形成されることがあるので、臨機応変に対応したいところです。
これは日足チャートの話なので、分足や1時間足などでやる場合にはローソク足2本以上で判断します。

逆三尊で株価はどこまで上がる?
逆三尊は買いサインだと解説しました。
では、逆三尊で株価はどこまで上がるのでしょうか?
利確ポイントを見極めるためにも、どこまで株価が上昇するかのめどを立てることは重要です。
再び、最初のオリエンタルランドのチャートに登場してもらいましょう。
逆三尊で株価はどこまで上がるのか?
その問いに対する回答は「わからない」となります。
理由は、株価を上げる理由が銘柄によって違うからです。
株価に対するインパクトが小さい買い材料で上がっているなら、それほど上昇は続かないでしょう。
しかし、今後も強烈に株価を上げていくだけの材料があるなら、長期上昇トレンドとなっていくと思います。
「わからない」からこそ、利確することが大事なのです。
「利食い千人力」という相場格言まであるほど利確は重要です。
ですので、逆三尊で株価がどこまで上がるかを考える際は、2つの利確ポイントを意識するようにしましょう。
利確ポイント1:ネックラインから逆三尊のパターン形成前の下げ幅だけ上がった箇所
利確ポイント2:ネックラインから、安値からネックラインまでの上げ幅だけ上がった箇所
です。
逆三尊は右肩上がりがおすすめ
逆三尊銘柄を狙うとき、おすすめとされる銘柄の特徴があります。
それは逆三尊の右肩上がりのチャートパターンです。
セオリーでは、逆三尊とは2つめの谷が一番深くて、1つめと3つめの谷は同程度の高さのチャートパターンとなっています。
しかし、実際には逆三尊の中でも右肩上がりになっているパターンの方が株価の上昇確率が高いと言われています。
右肩上がりということは、その時点で株価の下落トレンドが終わりを迎えて反発しようという段階ですので、逆三尊の右肩上がりが狙い目なのも自然な流れといえるでしょう。
逆三尊の右肩上がりの実例を見てみましょう。
下記チャートはミクロン精密のものです。
右肩上がりの逆三尊となり、株価が上昇していっています。
※出典:トレーディングビュー
さらにいうと、チャートに記したボリンジャーバンドがバンドウォークになっています。
バンドウォークとは、ボリンジャーバンドの+2σと+3σの間に沿って株価が強烈なトレンドを形成していく現象です。
バンドウォークについては、下記記事で詳しく解説しています。
↓↓↓
バンドウォーク 株で勝つインジケーターと見極め方
逆三尊の否定(だまし)
逆三尊の否定(だまし)には注意が必要です。
逆三尊の否定(だまし)ってなに?
そう思われた方もいるかもしれません。
逆三尊の否定・だましとは、逆三尊のようなチャートパターンになったのに、株価が上がらずに下がっていくことです。
逆三尊に限らず、三角保ち合いなどのチャートパターンにはだましが付き物です。
逆三尊は買いサイン。
なので、これを否定する=株価下落となるわけです。
ネックラインを超えたから買ったのに、だましに遭うこともしばしばあるのが現実ですね。
では、逆三尊の否定(だまし)にあったらどうすれば良いのか?
わかりやすく解説します。
逆三尊の否定(だまし)は即ロスカットが正解
結論から言いますと、逆三尊の否定やだましに遭った場合は即ロスカットするのが正解だと思います。
ちょっと株価は下がったけど、これから上がっていく…そんな風に思って株を保有し続けて損失を大きくした人を何人も知っています。
クロサキ自身、投資初心者のころに経験済みです。
逆三尊の否定(だまし)にかかった時、ロスカットした方が良い理由をまとめました。
・資金をそれ以上減らさずに済む
・精神的に引きずらないで済む
・次の銘柄にいける(リセット)
企業を応援したいと、長期投資するならともかく、短期トレードでは銘柄にほれることはご法度です。
だめだったらすぐに手仕舞いしましょう。
逆三尊の右肩下がりは否定(だまし)の確率高し
逆三尊の右肩上がりは株価上昇の可能性が高いことを解説しました。
その反対に、右肩下がりは逆三尊の否定(だまし)になりやすいのが特徴です。
逆三尊はトレンドの安値圏で出現するチャートパターンです。
それを踏まえたうえで、逆三尊が右肩下がりの状態で出現した場合はこれまでの下落トレンドが継続する可能性が高いことを示唆します。
三尊の否定(だまし)を回避する方法
三尊の否定(だまし)を回避する方法をご紹介します。
下落トレンド中に逆三尊のチャートパターンになっている銘柄を見つけた場合、こう判断すると良いでしょう。
逆三尊の右肩上がりなら買い
逆三尊の右肩下がりなら売りor取引を見送る
この2つのトレード戦略は逆三尊の特徴から導いた戦略です。
ただ、ローソク足だけで判断するのは心許ないので、インジケーターと組み合わせてエントリーするかを見極めることが重要です。
ボリンジャーバンド、MACDなどと組み合わせて使うことで、だましに遭う確率を押さえられることでしょう。
逆三尊の銘柄の探し方
逆三尊は株価上昇のサイン。
しかし、どうやって逆三尊銘柄を探せばよいの?
ファンダメンタルによるスクリーニングなら、PER○○倍のように入力すれば銘柄をリストアップできますがチャートパターンの場合はそうもいきません。
この章では、逆三尊銘柄の探し方について解説していきます。
逆三尊銘柄を探すツールを無料で利用できるもの、証券会社のツールの2つ紹介します。
株価アルゴリズムで逆三尊を探す方法
※出典:株価アルゴREAL
逆三尊の探し方の1つとして、アルゴリズムを利用した探し方があります。
それを無料で利用できるのが「株価アルゴREAL」というサイトです。
株価アルゴREALは、これから株価が上昇しそうな銘柄をチャートパターンから独自予想するサイトです。
株価アルゴREALで提供している「買いサイン」のチャートパターンは以下の9つ。
・ゴールデンクロス
・三角持ち合い上放れ
・暴落から反発
・トレンドライン突破
・上値抵抗線突破
・押し目から反発
・トレンド支持線から反発
・ダブルボトムから反発
・逆三尊から上昇
最後に「逆三尊から上昇」という項目がありますね。
この項目に銘柄があれば(0の場合もある)、逆三尊の可能性があることを意味します。
自分で探す必要がなく、サイトのアルゴリズムが銘柄を探してくれて無料で使えるので、時間がない人や銘柄探しに自信のない人にとってはありがたい味方になりそうです。
逆三尊のチャート形状検索での見つけ方
逆三尊をチャート形状検索で見つける方法もあります。
SBI証券や楽天証券など、ネット系の証券会社であればチャートの形状で銘柄をスクリーニングできるサービスを提供しています。
それを使いましょう。
下の図はSBI証券のチャート形状検索画面です。
※出典:SBI証券
基本的に楽天証券などでも同じ機能のツールを提供しています。
SBI証券では、25種類のチャート形状から銘柄を検索できます。
逆三尊は株価上昇サインなので、矢印が下向きのものと、株価上昇がストップしそうなものは除外していきます。
25種類あるチャート形状のうち、逆三尊を探すのにクロサキが使うものをまとめました。
上昇?
まだ上昇?
上昇基調?
しっかり?
リバウンド?
逆三尊を上記5つのチャート形状から探すことが多いですね。
リストアップされた銘柄のチャートを個別に見ていき、逆三尊形成かチェックします。
この場合、ローソク足だけでなく、インジケーターと組み合わせてみることで情報の確度がアップします。
逆三尊にインジケーターは必要?
逆三尊はローソク足のチャートパターンです。
なので、
「ローソク足だけでエントリーポイントと利確ポイントを判断すればOKじゃないの?」
そう思う方もいるかもしれません。
もちろん、それも1つのやり方です。
ローソク足だけで、うまくトレードして利益を稼げるのであればそのやり方を続けるのが1つの正解だと思います。
ただ、一方で逆三尊とインジケーターを組み合わせるやり方もありだと思います。
証券会社が提供しているインジケーターの中では
MACD
RSI
一目均衡表
ストキャスティクス
ボリンジャーバンド
エンベロープ
といったインジケーターと組み合わせ、逆三尊の否定(だまし)を回避するのが有効だと思います。
「だまし」は時間足が短いものになればなるほど多くなります。
なので、デイトレなどで逆三尊を利用する人は、インジケーターとの組み合わせも考慮した方が良いでしょう。

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逆三尊のエントリーポイントと探し方がとてもわかりやすい記事ですね。右肩上がりの特徴も覚えました。
逆三尊のエントリーポイント、利確ポイントの解説わかりやすいです。
よく逆三尊になっているチャートを見つけられたなぁと。
記事にある逆三尊の銘柄の探し方が有効ということですね。
逆三尊とてもわかりやすいです♪実際に逆三尊になっているチャートを見るとなるほどと思いますね。
エントリーポイントと利確ポイントの解説が参考になりました。
>三尊さん
コメントをありがとうございます。
お役に立てたようで何よりです。今後もテクニカル系の記事をなるべくわかりやすく書いていこうと思います。お楽しみに。